離婚した後の年金の分割・分与について解説!平成28年10月から社会保険の適用拡大でどう変わる?

共働き世帯向けの合意分割

離婚自体は決して良いイメージではありませんが、離婚をすると財産分与のようなお金の問題が絡んでくるので知っておいたほうが良いこともあります。

将来の年金という面でも、平成19年頃から法律の整備が進み、夫婦各々への分割の制度が大きく分けて2種類できました。

また、平成28年10月から社会保険の適用が拡大するので、それがどのように影響するかも含めて紹介します。

共働き世帯向けの合意分割

共働き世帯向けの合意分割

通常の財産分与では、共同して稼いできた資産をどれだけの割合で分けるか話し合いで決めます。預貯金が1,000万円あれば夫に700万円、妻に300万円などと分けます。

厚生年金においては月給に応じて30等級(28年10月からは31等級)の標準報酬月額が決められており、この数字が厚生年金計算上の月給として納付記録に残ります。この数字が大きいほど、将来もらえる年金額は増えます。

例えば額面月給195,000円以上210,000円未満であれば、この月の標準報酬月額は一律で200,000円となります。またボーナスの額面も標準賞与額として記録されます。

 

また、この標準報酬月額や標準賞与額を合意により分割することができます。夫婦ともに厚生年金に加入している例で考えてみましょう。

離婚前で平成28年9月の標準報酬月額が夫:36万円、妻:20万円であれば、合意分割により夫は28万円まで減少させることができ、妻は28万円まで増加させることができます。つまり1/2を上限に分割して記録することが可能です。

あくまでも標準報酬月額や標準賞与額が多いほうから少ないほうに数字が動きます。

また、他の財産分与と同様に合意に替えて家庭裁判所へ年金分割調停の申し立てを行い、按分割合を定めてもらうことができます。

 

専業主婦世帯向けの3号分割

専業主婦世帯向けの3号分割

一方で合意無しでも分割できる「3号分割」と呼ばれるものがあります。この3号は第3号被保険者を意味しており、年金の扶養にあたる配偶者(主に専業主婦)を指します。

配偶者が平成20年4月以降に第3号被保険者だった期間だけは、配偶者に標準報酬月額や標準賞与額が1/2分割されるというものです。

例えば、離婚前で平成28年10月の標準報酬月額が夫:30万円、妻は第3号被保険者であるとすれば、3号分割により夫:15万円、妻:15万円として記録されます。

合意分割は共働き世帯向けの制度なのに対し、3号分割は専業主婦世帯向けの制度と言えます。

 

国民年金(老齢基礎年金)は関係無い

国民年金(老齢基礎年金)は関係無い

注意すべき点は、上記の分割は厚生年金特有の制度であって、国民年金には無い制度ということです。

国民年金からもらえる老齢基礎年金は各個人の納付月数に応じて金額が決まり、配偶者の給与額には影響されません。

よって厚生年金に加入したことのない自営業者の夫婦が離婚しても分割は利用できません。

 

また、過去に加入歴があっても第3号被保険者期間が無ければ、合意分割だけしか利用できません。

社会人の多くが厚生年金に加入するサラリーマンや公務員なので多くの人が利用できる制度とも言えますが、誰でも利用できる精度というわけではありません。

 

平成28年10月から改正させる社会保険適用拡大の影響

平成28年10月から改正させる社会保険適用拡大の影響

平成28年10月の社会保険適用拡大により、パート主婦の中には扶養を外れ(第3号被保険者の要件から外れ)、厚生年金に加入する人もいます。

離婚をして分割に対する影響ですが、厚生年金加入で第3号被保険者期間が短縮されることになるので、3号分割した時に妻側が損するケースが多くなることが想定されます。

関連:社会保険の加入条件が拡大!「106万の壁」はいつから?パート・専業主婦に与える影響とは

 

パート主婦が厚生年金に加入する場合、手取りは減るが将来の年金額が増えるというメリット・デメリットの両方がありますが、離婚をしてしまう場合将来の年金額が増えるとは言い切れません。

例えば、夫:30万円の標準報酬月額を夫:15万円、妻:15万円と分割できた上記の例で、妻が88,000円の標準報酬月額で加入することを想定すると、合意分割無しでは、夫:30万円、妻:88,000円となって妻の標準報酬月額が少なくなり、将来の年金額に影響します。

3号分割で損しても合意分割で補う方法もありますが、こういったこともよく考え、厚生年金に加入しないなどの対策をとる必要もあります。

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