日本の携帯業界は長い間「キャリアと通信と端末をつなげる」という文化になっていました。
その結果生まれたのが0円携帯などですが、これは様々な問題を生み出しています。
最近では、安倍総理が高い携帯料金に触れ、総務省がタスクフォースを組んで対策を考えました。その結果なぜか「0円携帯の禁止」という結論に至り、今後は0円携帯が廃止されます。
そもそも0円携帯の仕組みって?
そもそも0円携帯というのは、現金キャッシュバックによって端末料金を補うというものです。
仕組みとしては、携帯販売店が携帯を売ると販売時に一台単位で報奨金が支払われる仕組みがあるのですが、この報奨金を現金や端末料金の値引きとして利用者にキャッシュバックしたのが0円携帯です。
このキャッシュバックは各社とも一時期大いに加熱し、キャッシュバックで現金を手に入れる事を目的として違約金を払いながら、MNPでキャリアを転々とする人間すら現れ始めました。
このキャッシュバックは公平な競争とは言えないという事で、総務省がこのたび改善命令を出したのです。
なぜ総理大臣が携帯料金に触れた?
これだけであれば総務省からの改善命令で終わり、総理が直接携帯料金に触れる必要がありません。
これはあくまで一説なのですが、総理が携帯料金に触れた理由として、スマホになって以降の携帯料金の高止まりが原因と言われています。
スマートフォンになってデータの通信量が増えた結果、月額料金も高くなりました。そのため、家庭の支出の多くを携帯料金が占めるようになります。
この支出を減らすことで他の分野にお金が使われるようになり、経済を回したいという思惑があるとされています。
そしてそこに、キャッシュバックと「大手キャリアの独占」への対策が加わります。
昨今は格安SIMのMVNOが増えてきたとはいえ、まだほとんどの人は大手キャリアを利用しています。
このキャリア間の競争は現在停滞しているので、キャッシュバックを抑制すると同時にMVNOを援助して競争を盛んにさせたいという思惑もあるのです。
携帯代は安くなる?
総務省の指示を受けて、時期はズレますが大手キャリア三社は0円携帯を廃止する方向に動いています。
その上、総務省の指示に有った低容量低価格プランも発表しています。ただやはり若干割高となっているのが実情です。
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結局の所、大手キャリアの方は利用料金が多少安くなりますが、実際そこまで変わりはありません。
今回の改善命令は大手キャリアへの規制と同時に、「MVNOと中古市場の活発化」が行われる前提です。
つまり「携帯代が高いと感じるのであれば、格安SIMに移行しましょう」という流れなのです。
ただ携帯料金が安くなるわけではない
今後本当に携帯代は安くなるのか?という疑問が出てきますが、「価格の選択肢は増えるが、質はかなり落ちる」という答えになります。
大手キャリアの「通信と携帯をつなげる事で利用者の囲い込みをする」という戦略はキャッシュバックや競争の低下などの問題を生みましたが、その一方で独自端末や独自サービスの提供、高品質なサービスなどを生みました。
また、キャッシュバックも問題ではありますが、0円で最新のハイスペック機が買えるというのは利用者にとってメリットがあります。
一方でMVNOは安価ですが、独自で回線を持っていないのでキャリアに比べると通信が貧弱です。また、端末も一部企業では独自端末を販売していますが、ほとんどの場合同じようなSIMフリーを販売しているのが実情ですし、格安スマホなどと言ってもスペックが高い物は相応に高いです。
ならば高スペックの中古をという話になりますが、中古だとしてもスペックが高く新しい人気端末は値段も高いです。
この二つから考えると、今後は「安かろう悪かろう」か「高くて高品質」に二分されると考えられので、「携帯代は安くなるのか」という疑問には「選択肢は増えるだろう」という答えになります。
今回の政府の取り組みで携帯料金が安くなると思われましたが、簡単にはいきそうにもありません。