株式投資をやるうえで、「投資の神様」と呼ばれるウォーレン・バフェットの投資哲学を学ぶことは大切です。
バフェットは株式投資だけで620億ドル(6兆4000億円)もの個人資産を築いたという実績の持ち主で、その投資哲学も独特のものがあります。
モチベーションが持続する熱中型のあなたなら、きっと納得される内容ばかりです。さっそく、ご紹介しましょう。
株式は長期保有を貫け!
バフェットは徹底して株式の長期保有を貫きます。
「10年間持ち続けるつもりでなければ、10分間でも株を持ってはいけない」と述べています。
しかし、ただ適当に株を買ってずっともっていなさいという意味ではありません。そこには次のような条件が付いています。
「優れた会社の株なら、買いかえる必要などない」
事実、バフェット氏自身もコカコーラやP&G(プロクター・アンド・ギャンブル)、アメリカン・エキスプレスなど、超優良企業の株をずっと持ち続けています。その投資行動の裏には「優良企業は短期的にはどうであれ、長期的には投資家の期待に応えてくれるもの」という固い信念があるからです
それから、自分がわからない事業を行っている会社にも手を出しません。バフェットが絶対にハイテク株を買わなかったのは、自分がその業界に明るくなかったからです。
経営者の人格を重視せよ
その一方で、バフェットは経営者の人格を重視します。たとえ先行きが明るい条件がそろっている会社でも、経営者が誠実でなければ投資しないのです。
経営者が誠実ならその人物は合理的な考えができ、株主や顧客などのステークホルダー、ひいては社会全体のことをちゃんと考えるはず。それが、会社のサステナビリティ(持続可能性)を高めることにもつながるからです。
それから、ブランドやポジショニングも重視します。
ポジショニングとは、その商品の対象となる消費者に自社のイメージを明確に位置づける作業です。ポジショニングができていれば、「コカコーラ=世界的な清涼飲料メーカー」「マイクロソフト=世界的なOSメーカー」というように社名とよいイメージ明確に結びつくので、安定的な利益につながるというわけです。
単に「優良企業の株を買う」「ブランドを重視する」などというと、あたかもバフェットが主観的な判断で株を買っているようにみえますが、実はちゃんと数字的な裏付けも取っています。
アニュアルレポートを入念にチェックせよ!
バフェットは株式を買う場合、アニュアルレポート(年次報告書)を徹底的に読み込んで、その会社の財務内容を入念にチェックします。特にROE(自己資本利益率)に着目しています。これが高いほど、会社が資金を効率よく使っていると判断できるからです。
そして、バフェットは買い値にもこだわります。これまでに述べたような特徴を備えた会社の株を、なるべく割安な値段で買うのです。
言い換えれば、成長株(成長企業の株式)に投資するグロース投資と、企業価値からみて割安な株式に投資するバリュー投資を組み合わせた手法をとっているというわけです。
株式市場に限らず、ほとんどの相場が短期的には荒っぽい動きをしても、健全経営を続けている優良企業の株式は長期的にみると徐々に元の水準へと戻っていくものです。
バフェットは優良企業の株が、一時的な不運(金融危機、業界の不振など)に見舞われて、株価がガクン!と下がったところで買うことで有名です。
その企業が真の優良企業であれば、株価は徐々に元の水準、つまり株価が高かったころの水準に戻っていく可能性が高いからです。事実、バフェット氏が数兆円単位の財産を築いたのも、こうした手法を愚直に貫いてきたからと言えるでしょう。