保険に加入する際には保障額を決めますが、家族構成や生活費によってそれは変わってきます。この保証額を簡単に計算できる方法はあるのでしょうか?
高すぎず低すぎずに最適な保険料で払えるように「必要保障額」という考え方があります。今回はこの必要保障額について詳しく紹介します。
必要保障額の算式は
必要保障額のプラス項目としては、今後予想される生活費・レジャー費・冠婚葬祭費用・教育資金・住居費が考えられます。
日常生活でかかる生活費のように日々かかるものは、契約者の死亡後から残された遺族の余命を考えて総額を出します。
具体的には電気水道ガス代・食費・電話代などが該当します。例えば毎月5万円などと見積もって、20年と考えれば100万円と出ます。
また、旅行費用などのレジャー費も不定期なものですが、予想されるものを見積もることがあります。
冠婚葬祭費用は、葬儀費用やお子さんの結婚援助資金が考えられます。
葬儀費用は相場的に200万円〜300万円程度、結婚資金は100万円台、近年ではもう少し低く抑えることも考えられます。一時的な費用なのでざっと見積もれば十分です。
教育資金は幼稚園・保育園から高校大学までおよそ20年間の資金を見積もります。私立・公立や文系・理系によりますが、600万円〜2,000万円程度と幅があります。
住居費は賃貸であれば毎月の家賃や、リース・レンタル物品があればその費用を総額で見積もります。
自己所有するのであれば、買い替えやリフォーム費用などを見積もりますが、老後はバリアフリー工事をすることも考えられます。また毎年かかる固定資産税もあります。
住宅ローンを利用して購入する場合は、ローンの残債が考えられます。これは団体信用生命保険に加入すれば返済できますので、こちらは考慮しなくてもよいです。
一方でマイナス項目は、上記の費用を補える収入や資産が考えられ、遺族年金その他の年金・死亡退職金・残された方の収入・預貯金などがあります。
遺族年金の注意点
遺族年金は亡くなった方が厚生年金加入者か国民年金加入者か、奥さんや子供がいるか、また子供が何歳かでもらえる金額が変わってきます。
遺族年金には遺族基礎年金と遺族厚生年金がありますが、子供が高校卒業までの年齢でなければ、遺族基礎年金はもらえません。
また、遺族基礎年金は年額780,100円で子供1人あたり224,500円(3人目以降は74,800円)もらえます。
遺族厚生年金は生存時の年収により変動しますが、老後にもらえる厚生年金の3/4程度となります。
なお、高校生以下の子供がおらず遺族厚生年金しかもらえない場合でも、40歳以上65歳未満であれば中高齢寡婦加算として、遺族基礎年金の3/4相当額(年額585,100円)がもらえます。
労災による死亡であれば遺族補償年金がありますが、通常は必要保障額のマイナス項目として考慮しません。
関連:死亡後に遺族がもらえる年金は何がある?寡婦年金や遺族年金の違いや特徴とは
必要補償額を必ず意識するように
必要保障額は遺族年金の計算が非常に難しいため、保険会社側が契約予定者からヒアリングして必要保障額の計算をすることがあって然るべきものです。
ところが最近は必要保障額を計算することなく、死亡保障を提案する傾向にあります。これは金融庁による監督強化により、保険会社の人間による報告事項が増えた影響です。
とはいえ、必要保障額は保険金の額を決めるのに重要なものです。必要保障額や遺族年金に関しては、シミュレーションできるサイトもありますので、死亡保険を加入する際は必ず意識しておきましょう。
また、加入する時だけでなく、定期保険を更新したり、家庭環境の変化で保障額を見直ししたりするときも再度計算することで役に立ちます。年齢が高くなるほど保障額を少なくしても良くなります。
保険を契約したら放置しておくのではなく、適宜見直すことが大事です。