日本生命などが販売する保険「トンチン年金」の意味とは?長生きで多くお金を受け取れる?

長生きリスクに備えて

長生きできるのは大変ありがたいことですが、長生きすることによって生活費が多くかかる問題もあります。

公的年金制度でその点はカバーされていますが、公的年金とは違う仕組みで長生きすることで多く受け取れる民間保険が平成28年に発売されました。

トンチン年金とは

トンチン年金とは

「トンチン年金」という保険を日本生命(長寿生存保険)など数社が販売しています。70歳から年金が受け取れますが、受け取り始める前に亡くなると、保険料払込相当額の7割が戻ってきます。

これは解約辺戻金を低く抑えた「低解約辺戻金型」と呼ばれる保険になっています。基本は終身年金ですが、10年確定型もあります。

トンチン年金という言い方がされるものは、元々はイタリアのトンチが考案した年金制度です。

出資者から集めた資金を運用し、生きている人達だけに終身で分配するというものです。8人で500万円出し、5人生きていたら(運用益なしの場合は)800万円もらうことになります。

 

公的年金とは何が違う?

公的年金とは何が違う?

公的年金は賦課方式の年金であり、ある時点で現役世代の納めた保険料をそのまま高齢世代の年金に充てています。保険料のほうが余れば積み立て、足りないなら積立金を取り崩すことになります。

公的年金には遺族年金・障害年金もあり、加入者が生きている間だけ支払うことを目的とはしていません。

また、高齢者と現役世代のバランス、物価・賃金状況で年金額は上下するので、長生き=得というのが保障されない点もあります。

 

他の個人年金保険とは何が違うのか

他の個人年金保険とは何が違うのか

トンチン年金も個人年金保険として販売していますが、通常の個人年金はあくまで個々人の積み立て型年金です。

有期年金や終身年金なら同じように生存中にしかもらえませんが、受取開始前に死亡した場合は貯蓄型保険という性格もあり、もらいきれずに死亡しても払い込んだ分は、死亡給付金として戻ってくるのが一般的です、(保証期間付のものは受取開始後でも戻ってきます)

 

トンチン年金は積み立てるというよりも、生存者だけで分配する相互扶助的な性格があります。死亡給付金を抑えることを「トンチン性を高める」という言い方をします。

なお個人年金保険には、受取中に死亡すると残存期間は遺族がもらえる(受取期間10年で4年受け取って死亡した場合は、遺族が6年分受け取る)確定年金などもあります。

 

長生きリスクに備えて

長生きリスクに備えて

65歳から老後として、85歳までであれば6,000万円までの生活費が必要だったものが、95歳までだと9,000万円に膨らむことが大いに考えられます。

医療費がかさむ可能性もあるので医療保険で備えることも考えられますが、医療保険は疾病状態や入院・外来によって受け取れない可能性もあります。

 

もっとも日本の民間保険ではこのような個人年金保険を売り出している会社は限られています。公的年金が早死にしたら損だと言われている中、掛け捨て型の年金はいいのか?という批判もあり、契約者が理解してくれるかが問題でした。

しかし、高齢化社会が進んで「長生きリスク」というのも高まっていると言えますし、金利が悪いと貯蓄型保険の販売も難しくなってきます。掛け捨て型のほうが同じ保障額で保険料を下げたり、あるいは同じ保険料で保障額を上げたりすることも可能です。

人口構成や金融の両方で見ると時代にあっている個人年金保険です。また、国は個人型確定拠出年金のような、自己責任で増やしていく積立型の私的年金を普及させようとしています。

ただ運用の難しさを感じるのであれば、トンチン年金を考えてもいいのではないでしょうか。年金額自体を契約段階で決められる、確定給付型の年金です。