医療費控除と高額療養費制度の違い・申請の方法・注意点や計算方法など

医療費控除の注意点

病院に多くかかると医療費も多くなってしまいますが、出来る事なら医療費をなるべく抑えたいですよね。

「高額療養費制度」と「医療費控除」というものがありますが、この2つについては混同するケースも多いようです。

複雑な制度になっているのがその原因として考えられますが、いったいどのような違いがあるのでしょうか。

高額療養費制度と医療費控除の違い

高額療養費制度と医療費控除の違い

高額療養費制度とは、ある1カ月の医療費が所得に応じた上限額を超えた場合に、超過した分を高額療養費として支給する制度のことです。

これは健康保険に関する制度なので自由診療や差額ベッド代など、健康保険が適用されないものに関しては対象外であることに注意してください。

住民税非課税世帯になると上限額は35,400円ですが、上位所得者になると十万円単位とかなり差があります。

関連:非課税世帯は医療費や国民健康保険料が免除のメリットが?住民税の未申告には注意!

 

これに対して「医療費控除」は年間の医療費が一定額以上に達した場合に、その超過した分を所得から差し引くことができる税金計算上の特典となります。

所得税と住民税の金額に影響しますが、これは健康保険の制度ではないので自由診療でも医療費控除の対象になるものがあります。

 

どこで手続きをするのか?

どこで手続きをするのか?

高額療養費制度の手続きは加入している健康保険の団体に対して行います。

職場の健康保険に加入しているのであれば「健康保険協会」や「健康保険組合」、国民健康保険に加入しているのであればお住まいの市区町村です。

これは限度額を超えた月があればその都度申請を行うことができます。何カ月かまとめてもできますが、2年の時効があるので気をつけてください。

 

一方、医療費控除は基本的に確定申告の際に行うので、住んでいる地域の税務署で行います。

死亡された方の申告(準確定申告)でなければ、2月16日から3月15日の限られた期間のみで行われます。

 

医療費控除の注意点

医療費控除の注意点

医療費控除は「高額療養費制度」と混同される方が多いので注意点を挙げます。

まず、医療費控除は支払った分だけ税金が戻るような仕組みにはなっていませんし、仮に所得から差し引く場合でも全額が所得から控除されるわけではありません。

給与所得・事業所得などの合計所得金額が200万円を超えている場合は、医療費の支払額-100,000円が所得から差し引かれます。200万円未満の方は、医療費の支払額-合計所得金額×5%となります。

所得税の税率は5.105%以上、住民税は10%なので、医療費に100万円かかり所得税を5.105%と考えると、減税される金額は約14万円です。

 

また、所得によっては戻ってこないこともあります。本来の趣旨は税金を低くするものなので、税額が給与や年金等から引かれていない場合は戻ってくる税金がそもそも存在していません。確定申告で戻ってくると決めつけると痛い目にあうので注意してください。

さらに、高額療養費でもらった分や医療保障の生命保険金は控除対象の医療費から差し引くことになっています。

これらは貰うだけであれば非課税ですが、医療費控除を受ける場合は控除額を低くするものというのを覚えておきましょう。

 

生命保険もうまく活用しよう

生命保険もうまく活用しよう

どちらの制度を利用したとしても、どうしても費用がかかってしまうものがあります。

差額ベッド代と言われるもので個室や2人部屋などを利用するとかかってきますが、これは健康保険の適用対象外ですし、原則医療費控除の対象外でもあります。

病院の都合で差額ベッド代のかかる部屋に入れようとすることもあるので、差額ベッド代がかからないよう、病院側と交渉するのも一つの手です。

ただ、そういう部屋に入ってもいいと考えているのであれば、民間生命保険の医療保険で差額ベッド代が保障されるものを活用することも出来ます。

高額療養費も医療費控除も使えないものが想定される場合は、民間保険で補うことを検討しましょう。