日米欧など中央銀行の金利政策、中国経済の動向、原油価格、テロリズムなど、今や様々な要因で株価が激しく乱高下する時代です。
その裏では投機筋のいろいろ思惑がうごめいているのも事実です。しかし、株式投資のメリットは投機(ギャンブル的な投資)だけではありません。
株式投資で期待できるメリットには大きく分けて3つあります。「キャピタルゲイン」と「インカムゲイン」「株主優待」です。
キャピタルゲインとは
キャピタルゲインとは、いわゆる「値上がり益」です。いったん保有した株式が値上がりしたところで売却をし、得られる利益のことを言います。
ちなみにキャピタルゲインとは「資本(capital)から得られる利益(gain)」という意味です。
一株1,000円の株を100株保有した後、一株1,500円まで上昇したところを見計らって100株全部を売却した場合、手数料や税金を考慮しなければ50,000円の利益が得られることになります。この50,000円がキャピタルゲインです。
ただし、当然のことながら株価は常に上昇するわけではありません。一株1,000円で100株保有した後に、半分の値段の一株500円になることだってあります。
その時、損失を覚悟して100株すべてを手放せば50,000円の損失が出ます。このように、売却によって発生した損失は「キャピタルロス」と呼ばれています。
インカムゲインとは
一方、株式を売却しなくても、株式を保有しているだけで受け取れるのがインカムゲインです。
インカム(income)は「利回り」という意味で、具体的には企業が支払う配当を指します。配当とは企業が稼ぎ出した利益に応じて株主が受け取る分配金で、権利確定日をまたいで株式を保有している株主が対象となります。
配当金額はその企業の業績や方針などによって決められます。
配当が税引き後の当期純利益に占める割合を「配当性向」といい、基本的にこの数値が高いほど、企業は株主に利益を還元しようと頑張っていると考えられます。
ちなみに欧米先進国の配当性向は全般的に高い傾向にはあるものの、企業ごとのバラツキが極めて大きいのが特徴です。
日本企業の場合には10~30パーセント前後で横並びの傾向がみられます。また新興国企業の配当性向は、欧米に比べれば低いのですが、日本企業よりはやや上回っているようです。
そう考えると、日本企業は配当性向において遅れをとっているようにもみえます。
ただし、グローバル競争にさらされている日本企業、あるいはこれからさらされる可能性が高い日本企業は今後配当性向を上げていく可能性もあります。
特に、近年M&A(Mergers & Acquisitions、企業の合併・買収)がブームになって以降、国内外の企業から敵対的買収にさらされるケースが見られるようになりました。
配当性向が低い企業は株主が株式を手放しやすいため、敵対的買収(買われる側の会社の経営陣の同意を得ない買収)にさらされるリスクが高くなります。
このようなことからみても、日本企業の配当性向が全般的に上がる可能性が高いと考えられます。こうしたことも、銘柄選択の際には念頭におくべきでしょう。
お得な株主優待もたくさん
「株主優待」も株主の権利のひとつです。企業によってさまざまな株主優待という制度が設けられています。
株主優待とは株式を権利確定日まで保有している株主に対して、企業が与える特典のことを言います。
例えば飲食関係なら優待クーポンを配ったり、玩具メーカーが株主限定モデルを配布したりする例があります。
また、数多くの人気アーティストが所属しているエイベックスでは所属アーティストによる「株主限定ライブ」を実施しています。
数年前には過去最高の8900人もの株主が参加して話題を呼びました。実際に、このイベントを狙ってエイベックスの株式を買う投資家も少なくないようです。