国民年金保険料を前納すると割り引きはどれくらい?お得な2年前納制度もある!

保険として考えれば当然の理屈

年度初めに送付される国民年金保険料の納付書には、月ごとの納付書の他に半年分や1年分の納付書も同封されています。まとめて払えばお得になるというものです。

また、納付書にはない「2年前納制度」も創設されました。より割引幅は大きくなりますが、手続きや税の申告では注意点もあります。

保険として考えれば当然の理屈

保険として考えれば当然の理屈

民間保険の場合も月払いの他に、年払い・半年払い・一時払い・全期前納があります。期限を早めてまとめて払うほど、早く払ってもらった分も含めて運用するという考え方で安くできます。

国民年金においても送付された納付書や注意書きを見ればわかりますが、6カ月前納・1年前納・2年前納のいずれかの形でできます。

なお2年前納の納付書が無いのは口座振替しか認めていないからです。2年前納でなくとも、口座振替に切り替えるだけで引落期日が納期限より早まるため、1カ月あたり50円の割引になります。

 

前納で安くなる金額はどれくらい?

前納で安くなる金額はどれくらい?

平成28年度で納付書による6カ月前納の納付金額は96,770円、1年前納の納付金額は191,660円です。毎月の納付額は16,260円ですので、月あたりの金額と節約できる金額は

6カ月前納:96,770 ÷ 6=16,128円(△132円)
1年前納 :191,660÷12=15,971円(△289円)

 

口座振替によるものであれば6カ月前納の納付金額は96,450円、1年前納の納付金額は191,030円、2年前納の金額は377,310円です。毎月の納付額は現金納付より50円低い16,210円(平成29年度は16,440円)ですので、同様に

6カ月前納:96,450 ÷ 6=16,075円(△135円)
1年前納 :191,030÷12=15,919円(△291円)
2年前納 :377,310÷24=15,721円
(平成28年度額より△489円、平成29年度額より△719円)

月ごとの金額は数百円の違いですが、年間で見ると千円単位で安くなり特に2年前納は年間で5,000円以上安くなります。

 

税金の計算が2通りに

税金の計算が2通りに

国民年金保険料の支払いは社会保険料控除として所得から控除されます。

前納した場合は前納した年に支払った分だけ所得から差し引けるので、2年前納で約37万円控除できれば、所得税と住民税で20%の税率の場合は、75,000円程度税金を引き下げる効果があります。

ただし、2年前納の場合は支払った年に9カ月分と翌年に12カ月分、翌々年に3カ月分に分割して控除する方法もあります。毎年同じような所得になる場合は、そのようにしたほうが各年の納税額は均等になります。

このような分割になるのは、2年前納は4月分〜翌々年3月分という年度単位になり、月数分だけ控除するという発想になるからです。最初の年は4月分〜12月分なので9カ月分になります。

6カ月前納のうち10月〜翌3月分、もしくは1年前納を分割して控除する場合も同様の発想になります。

 

厚生年金加入や死亡の場合は

厚生年金加入や死亡の場合は

現役時代に加入する年金は国民年金以外に厚生年金もあります。厚生年金は給与から天引きされて勤務先が払うものなので、納付の仕方も変わってきます。

平成28年10月分〜29年9月分を支払ったものの、29年4月には会社勤めして厚生年金に加入するということも考えられます。

社会保険に加入義務がある法人の未加入に対しては、国や年金機構も厳しく指導するようになってきており、そのような法人に勤めていると加入指導により、従業員が厚生年金に加入することも考えられます。

 

また、前納した後に死亡したら無駄払いになるのではという疑問もあります。

前納した分については職場が厚生年金加入手続きをとった後に、日本年金機構が国民年金納付履歴と照合します。その結果、前納分還付のお知らせが届くので、同封されている還付請求書により手続きすることで還付されます。

死亡した場合は遺族が遺族基礎年金や死亡一時金などを受け取れることがあるので、その手続きとあわせて年金機構に還付請求書を出します。結局どちらのケースでも払い過ぎにはならないので、その点は安心して前納を考えてください。