スマホ業界の移り変わりというのは激しく数年前の機種を今使っても、もう役に立たないというのは珍しくないことです。
第三のOSの先陣として日本で注目を集めたFirefox OSは、auが開発した「Fx0 LGL25」の一機種に搭載しただけで、公式にスマホ向けOSの開発が中止されたりと移り変わるスピードがかなり早いのです。
そう言った流れが速い業界において、一定の地位を得ながらあまり名前が広がっていないのが「ファブレット」というものです。
ファブレットとは5インチ以上7インチ以下のスマホ
明確な定義があるわけではありませんが、ファブレットとは「5インチ以上7インチ以下のスマホ」または、「7インチ以上の大きさの通話機能付きタブレット」の事を指します。
2012年の頃から時折メディアに名前が登場し、一時期は各社とも「ファブレット機種」を投入してマスコミもファブレットという単語を盛んに宣伝していましたが、語感が悪いのか日本ではあまり定着したとは言えません。
因みにファブレット(phablet)とは「phone」と「tablet」を組み合わせた単語から来ており、扱いとしては「大きなスマホ」という感覚です。
動画やゲーム市場の変化が要因
ファブレットが生まれた理由として、スマートフォンにおけるゲーム市場や動画配信があります。
スマホでゲームを行うのは今や当たり前になり、任天堂の3DSやソニーのPSPやPS Vitaといった、携帯ゲーム機の市場すら脅かしていると言われるほどの市場規模になっています。
また、各社が提供する動画配信サービスやニコニコ動画、youtubeといった個人が投稿する動画をスマホで見るのは当たり前になってきています。
こういった用途でスマホを使うようになるという事は、視認性や画面の大きさが求められる事になります。
それならタブレットを使った方が良いんじゃ?となりますが、タブレットだと携帯性が悪く、持ち歩くのが面倒という意見が多くあります。
この二つの問題を避け、両者のメリットを取り入れる為にその中間的存在である「ファブレット」が生まれたという訳です。
ファブレットは使いやすい?
海外では徐々に流行りだしていて、iPhone 6Sも5.5インチの大きさなのでファブレットサイズになっています。
また、日本でも5インチや5.5インチといったスマホ画面の大型化が進んでいます。
しかし、ファブレットという言葉が流行っているかというと、正直あまり流行っていないというのが現状です。
ファブレットの利点は「スマホの携帯性とタブレットの視認性」ですが、これは逆に言うと「携帯性が悪いスマホ」か「視認性が悪いタブレット」とも取れます。
実際、現在は利用者の多くが慣れた為聞かれなくなりましたが、iPhone6S販売当時は「大きすぎる」「ポケットに入らない」「電話をかけにくい」と言った不満が多く聞かれました。
また、端末の大型化が進んでいるとはいえ、6インチ以上のサイズは海外製品がメインで日本製はあまり見かけられません。
ファブレットはその大きさから「ポケットに入れにくい」や「電話がかけにくい」というスマホとしての部分にも不満を持つ人が多いですし、二台持ちが当たり前になった現在では視認性を求めるならタブレット、携帯性ならスマホと使い分けた方がいいというのもあります。
それでも「ファブレット」は人気がある
日本でファブレットが全く人気が無いかと言われればそうではありません。SIMフリーの高性能機で一二を争う人気の「Zen Fone2」やlaserシリーズは6インチですし、5インチから5.5インチのスマホは現在の日本で主戦場となっており、各社メインとなる商品をどんどん出しています。
むしろ現在は4インチなど小型スマホが欲しいという声が有る程、市場には大きなサイズのスマートフォンが販売されている状況です。
こういった点から考えると、日本ではファブレットに人気が無いのではなく、ファブレットという言葉が定着せずにiPhoneによって5.5インチの「スマホ」が定着したのではないかと考えるのが正しいのかもしれません。