鈴木光司原作のホラー小説「リング」は、角川ホラー文庫として1991年に発売された作品です。
貞子の呪いの連鎖は、近年になっても留まることを知らないようです。
このリングの舞台は実在の土地をモデルにしていますが、果たして現地はいまどうなっているでしょうか。
小説リングのあらすじ
簡単なあらすじとしては、映画版のほうがよく知られていますが、ここでは原作小説を取り上げます。
ある日から各地で奇怪な死亡事件が連続し、その多数の死者には共通点が見られました。
新聞社に務める浅川は、次々と謎の死を遂げる人々を追い事件の真相を求めます。
やがて、かつて存在していた超能力少女「貞子」に辿り着きますが、浅川は自らも呪いのビデオテープを見て、貞子の呪いにかかってしまいます。
井戸の中で死亡した超能力少女「貞子」の呪いが、年月を経てビデオテープに乗り移り、映像を見た人々を次々と呪い殺した。これが事件の真相だったのです。
浅川は友人の高山と共に、貞子の呪いを解く方法を模索し始めます。
といった内容ですが、映画版では少し異なる設定となっています。
また、ハリウッドでリメイクされたり、リングの続編が次々と出るなど貞子の呪いに終わる気配は見られません。
貞子の生まれ故郷は伊豆大島
原作で貞子が生まれ育った場所は、伊豆大島の「差木地(さしきじ)」という土地で、ここは大島の南端に実在している地名です。
なぜ貞子の生誕地が、差木地という土地でなければならなかったのかは不明です。
差木地付近には「シクボ」と呼ばれる複数の噴火口が残り、1421年の三原山噴火による溶岩の堆積した地形もあります。長さ600メートル、高さ30メートルにわたり、地層の大断面を見ることもできます。
貞子の母である山村志津子には、実在のモデル「御船千鶴子」が存在しています。明治時代に透視能力者として有名でしたが、当時の新聞により、超能力実験の結果の疑わしさを追求されます。
結局千鶴子は服毒自殺で亡くなってしまうという最後を遂げました。
リングの山村志津子の場合、大島の三原山の火口に飛び込んで自殺するエピソードがあり、これは、御船千鶴子が自殺した出来事に基づいています。
貞子の井戸はどこなのか
貞子は生きたまま井戸に落とされ、その超能力によって長い間井戸の中で生きていたという設定です。
貞子が閉じ込められた井戸の真上に宿泊施設が建てられ、井戸の真上にビデオデッキとテレビが置かれていた状況は、貞子の思念が影響して人々を操ったとしか思えません。
井戸があった場所については、原作では「南箱根パシフィックランド・ビラ・ロッグキャビン」としています。
箱根も大島と同様に火山であり、貞子は火山に縁のある設定となっていました。
南箱根と呼ばれる土地に該当するのは、神奈川県南東部と、静岡県東部の箱根山の南山麓の付近です。
原作で浅川は熱函道路を通過していますが、これは熱海市と函南町を結びつける県道11号線のことです。
原作の熱函道路の長いトンネルとは、相ノ原トンネルのことで、このトンネルを抜けた先に南箱根パシフィックランドがあるという設定でした。
実際にあったのは静岡県田方郡函南町の「南箱根ダイヤランド」と呼ばれる、広大な土地に幾つも別荘が立ち並ぶ場所です。
映画版のリングでもこの場所で撮影が行われており、貞子の井戸が隠された建物は「南箱根ダイヤランドの中の1棟」がモデルになっているのは明らかでした。
夏の肝試しスポットとしてリングの舞台を尋ねる旅も良いかもしれません・・・。