遺族の方がもらえる年金として「遺族年金」というものを聞いたことがあるかもしれません。
特に働き盛りの大黒柱が亡くなると、これまで通りの定期的な収入が無いと大変ですよね。
遺族年金と呼ばれるもの以外にも労災保険からお金が貰えるものもありますし、生命保険の死亡保障でも一時金形式だけでなく毎月貰えるものもあります。今回は遺族がもらえる年金について詳しく紹介します。
遺族基礎年金と遺族厚生年金の違い
遺族の方がもらえる年金としてよく聞くのが「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」だと思います。この2つは、計算も異なりますが、もらえる遺族の範囲がかなり異なります。
遺族基礎年金は簡単に言えばお子さん(18歳未満、障害があれば20歳未満)がいないともらえません。子育て年金などという俗称もあります。
遺族厚生年金はもう少し受取人の幅が広く、子供がいなくても貰う事が出来ます。
また、死亡者に養われているという条件で父母・祖父母などにも受給権はありますが細かい要件があります。
遺族基礎年金は遺族の家族構成により金額は変わりますが、遺族厚生年金は亡くなった方の生前の給与額にも左右されます。遺族基礎年金は概ね8〜10万円、遺族厚生年金は月収30万円程度でも月5万円程度となります。
寡婦年金や寡婦加算の制度
旦那さんと離別、もしくは死別した奥様は「寡婦」と呼ばれます。年金においても寡婦に対するものがあります。
国民年金に寡婦年金というものがあり、遺族厚生年金には「中高齢寡婦加算」「経過的寡婦加算」の制度があります。
寡婦年金はもらえる年齢が60〜64歳とかなり限定されており、その他細かい要件がありますが、遺族基礎年金がもらえない人の救済策の意味が強いと思ってください。老齢基礎年金の3/4もらえるため、年額はせいぜい60万円弱です。
一方、遺族厚生年金の「中高齢寡婦加算」は40歳〜64歳、「経過的寡婦加算」は昭和31年以前生まれの65歳以上ともらえる対象が広いです。
ただし、中高齢寡婦加算も遺族基礎年金がもらえない人のための措置で、金額的にも遺族基礎年金の3/4です。経過的寡婦加算は年金がもらえる世代の上乗せとなります。
労災の遺族補償年金
業務災害で死亡した場合は、労災の遺族補償年金がもらえます。労災の遺族年金は受取人の範囲は遺族厚生年金並みに広いですが、もらえる額は、上記の遺族年金と同様に遺族の状況・生前の給与額によって決まります。
年金年額は、遺族数により給与額に基づく給付基礎日額の153日分〜245日分と幅があります。
およそ給与の5〜8か月分なので、遺族厚生年金よりは高いですね。ちなみに遺族基礎年金・遺族厚生年金と併給している場合は、遺族補償年金が8割程度にまで減額されます。
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民間保険で補うとするなら?
生命保険会社でも、収入保障保険というものがあります。収入保障保険は公的な年金に比べると考え方はシンプルです。受取の満期を例えば60歳と決めたら、死亡時から60歳まで指定した受取人に毎月定額で給付されます。
例死亡保険金の金額を1億円などと決められる定期保険や終身保険に比べると、死亡の時期によって受け取り額が変動してしまいますが、死亡後に年金形式でもらう保険として補完していると言えます。
収入保障保険は民間の生命保険なので契約するのは自由なのですが、決まった額をもらいたいという方は定期保険や終身保険などのポピュラーな商品にしておいたほうが無難でしょう。
また、自営業者など厚生年金の加入資格がない人の遺族は、遺族厚生年金はもらえず、金額的に低く受取人も限定される遺族基礎年金しかもらえません。
他にもお子さんがいない人も受給額が少なくなります。これでは困るということであれば、収入保障保険をかけておいた方が無難です。