引受基準緩和型の医療保険とは?持病があっても入れるけど保険料が高い?

持病があっても入れる有り難い保険

生命保険会社の扱う医療保険は、契約の段階で病歴の告知をすることになっており、病歴によっては加入できないという事態も生じます。

そのような方の救済策として「引受基準緩和型保険」や加入要件の緩い無選択型などがありますが、このような一見有り難い保険は加入したほうがよいのでしょうか?

持病があっても入れる有り難い保険

持病があっても入れる有り難い保険

保険の加入の際には、審査があり病歴の告知義務があります。大病をしていると保険事業の赤字を避けるために、保険会社側が保険契約を認めないことが多々あります。

これでは医療保険に加入できず困る方もいるので、告知内容を少なくして、加入基準を緩くした引受基準緩和型保険という保険があります。

加入条件の緩い引受基準緩和型であっても、入院中では加入できない保険が一般的です。

 

さらに、健康状態の告知や医師の診査が不要で、入院中でも加入できるような「無選択型」という保険もあります。

なおここでは医療保険に絞ってふれますが、死亡保険にも引受基準緩和型や無選択が存在します。死亡保険も契約時には告知や審査があるからです。

 

保険料が高いというデメリット

保険料が高いというデメリット

ただし、間口の広い保険は保険金がおりる確率が高くなるため、保険料が高くなりがちです。

引受基準緩和型は通常の医療保険や死亡保険に比べて保険料が1.5倍〜2倍、無選択型が2倍〜2.5倍になります。

治療費が高いから少しでもお金が欲しくて加入しているのに、保険料も高く払うことになるのは納得がいかない人もいるでしょう。

 

資金的な余裕がない人が知っておくべきこと

資金的な余裕がない人が知っておくべきこと

公的な医療保険制度(健康保険)と民間の医療保険は仕組みが異なります。

民間の医療保険は病歴があると保険料が高くなりますが、公的な医療保険は医療費が青天井にならないように1カ月の上限額を定めています。上限額を超えて支払った医療費は取り戻すことができます。

 

福祉政策的な配慮から、この上限額が低所得者ほど低くなり医療費が少なく抑えられます。例えば、住民税非課税世帯や生活保護受給者は1ヵ月で35,400円(4回目から24,600円)が上限です。

健康保険は所得が低い人は保険料も少なくなります。それでいて医療費負担も抑えられるのですから、資金的な余裕が無ければ引受基準緩和型などに加入するメリットがあまり無いと考えられます。

 

また、所得税や住民税が発生しない所得だと、生命保険料を払っても税額が低くなる特典も受けられません。

ただし、先進医療など健康保険のきかないものに関しては医療費の上限が設けられていないので、低所得者でもこれに備えることを考えている場合には、引受基準緩和型に加入する意義があります。

 

所得が高い人でも注意が必要

所得が高い人でも注意が必要

逆に所得の高い人は医療費負担の上限も高くなります。最上位に分類される所得者であれば1ヵ月で25万円を超え、4回目以降も140,100円です。

高額な医療費負担が続くことに備えるため、高い保険料を払って引受基準緩和型や無選択型の医療保険を活用することも考えられます。

 

生命保険料の支払いにより、所得税や住民税の引き下げも可能です。平成24年以降契約の医療保険に関しては、死亡保険とは別枠の控除になります。

死亡保険と医療保険をあわせて最高8万円を所得から差し引くことができます。所得が高いほど所得税の税率は高くなるので、生命保険の支払による節税効果も高くなります。

 

しかし、生命保険料控除は控除額に上限があり、比較的低いという点には注意が必要です。

医療費控除の場合は上限が200万円と高く、年間10万円以上でなければ控除を受けられない点や、医療保険の給付金をもらうと医療費控除額から差し引くという点もあります。税制上も生命保険料を高くするほうのデメリットが見えてきます。

保険をとりまく諸制度を中心に引受基準緩和型や無選択型を見てきましたが、デメリットが目立ちますので、どうしても入りたいと考えているのでなければ、オススメしにくい保険と言えます。