保険料を支払っているが支払う余力がなくなってきたので保険見直したいという時に、保険会社から契約の転換を薦められることがあります。
しかし、この契約転換をよく理解しないままに進めると後悔することが多いです。一体どんな注意点があるのか詳しく紹介します。
転換はどういうもの?
まず保険契約の「転換」は保険を継続させるのではなく、新規に契約することになります。
従来の保険で積み立てた解約辺戻金相当額を、新契約する保険の保険料に一部充当する手続きが転換です。
よく車の売買になぞらえて、契約転換を「保険契約の下取り」という言い方をします。例えば払い込んだ保険料総額が100万円として、その「下取り価格」は100万円とは限らず、100万円を下回ることがあります。
掛け捨ての保険・貯蓄性の保険いずれも契約転換の対象になります。
なぜ営業は転換を薦めてくるのか?
定期特約付き終身保険や、養老保険のような掛け捨ての部分がある保険を見直したいという場合、保険会社の営業がこの転換を薦めてくるケースが多いです。
すでに払った保険料を充当しますので、保険料が安くなることも多々あり、魅力的な制度のようにも思えます。
保険会社側が転換を薦めてくる意図は、予定利率を下げることで保険事業運営の改善をすることです。
予定利率は契約開始時のものが終了まで続きますが、契約転換すると予定利率は転換した時のものに変わります。
契約を転換する際の注意点
バブル期の頃に契約した貯蓄性の保険の場合、予定利率が5%程度と高くなっていますが、契約転換すると予定利率がおよそ1%前後に大幅に下がってしまいます。
このような場合、転換しても保険料が高くなったり保障額が少なくなったりと損することが多いので、保険の契約時期をよく確認してから転換しましょう。
また、契約転換は「既存の契約の下取り」と説明しましたが、仕組みが分かりにくいところがあり、契約者と保険会社とのトラブル事例も多発しています。
続くと思っていた特約が終了していたり、保障期間が想定外のものに変更されていたりと、保険会社の営業の説明が不十分なこともあります。
例えば、定期特約付き終身保険で、終身主契約の保障額が300万円、定期特約の保障額が200万円の保険を契約していたとします。そして、定期特約の更新時期に転換して終身主契約が200万円、定期特約が300万円の保障になったとします。
同じ保障額であれば保障期間の限られた定期保険のほうが保険料は安くなりますので、このような転換では保険料が安くなることがあります。しかし保障は薄くなりますし、終身保険は貯蓄性のため予定利率を下げることもできて、保険会社側にとって望ましい状態になります。
また、新たな契約となりますので、告知・審査を行う必要があります。
病気がある時には、告知・審査が原因で保険料が上がる可能性もあるため、契約転換で損をしない様に注意しましょう。
転換以外の見直し方法も
契約転換をすることでどう変わるか説明を受けて、メリットやデメリットが理解できれば良いのですが、そうでない場合は契約転換の見直しはしない方が無難です。
例えば、払済にして保障額を減らすが以後の保険料は支払わないということであれば、保険料を削減することができます。これは契約が変わりませんので、思わぬトラブルを防ぐことにつながります。
また、延長保険を活用すると、保障期間が短くなりますが保障額を変えず保険料の支払を止めることができます。こちらも契約は変わりません。
こういった別の方法を検討して損をしない選択をしましょう。