老人ホームや介護施設での虐待事件をニュースで目にする事が稀にあります。
先日ニュース番組を見ていると「介護施設での虐待を減らすには職員の給料を上げるべき!」とコメンテーターが言っていたのですが、個人的に給料を上げるだけでは虐待は減らないだろうと思っています。
なぜ介護職員の給料は低い?
そもそも介護職員の給料はなぜこんなにもの低いのでしょうか。
福祉施設の介護員の月給は2014年の全国平均が常勤で21万9700円、訪問介護員(ホームヘルパー)は22万700円。全産業平均の32万9600円より約11万円低い。介護計画を作るケアマネジャーも26万2900円と全産業平均を下回っていた。
-出典:http://www.nikkei.com/article/DGXKZO84140670Z00C15A3TJP001/
厚生労働省の発表によると、ホームヘルパーは全産業の平均月収と比べ11万も給料が低い仕事です。
激務なのにも関わらずなぜここまで給料が低いのかというと、介護報酬は「公定価格」と言って政府や地方の公共団体が給料の上限を決められていることにあります。
なので現状では福祉施設側が自由にサービス内容や介護料金を決めることができないので、職員に払う報酬も必然的に少なくなるわけです。
法律を変えれば職員の給料を上げる事は出来ますが、給料アップ分のお金はどこかで捻出しなくてはいけないので、保険料が上がってしまったり介護利用料金が大幅に上がってしまったりと、回り回って利用する側に負担がくることも考えられます。
介護を頼む際の料金が高くなってしまえば、お金が払えない人は自宅で介護をするしかありません。
介護疲れから身内を殺めてしまうという悲しい事件は実際に起きているので、職員の給料アップ=虐待事件の根本的な解決とはならないと思っています。
なぜこういった事件が起きる?
虐待事件が起きてしまう背景に「激務によるストレス」があると思うのですが、職員を増やす事で一人にかかるストレス量を減らす事が出来ます。
しかし、職員の人数が増えれば支払う給料の額も増えてしまいます。職員の人数が増えることで一人当たりのストレス量が減るのは良いのですが、結局給料が払えなくなるという事が起きてしまうので、職員を増やせば解決する簡単な問題ではありません。
また、こういった事件が起きる要因として「閉鎖的な空間」であることが挙げられます。
先生のいないところでいじめが行われるのと同じで、誰にも見られていない所で弱い者を攻撃するというのはありえる事です。
防犯カメラを設置することで「見られている」という意識が働くので、「閉鎖的な空間」が原因の虐待は減らす事が出来そうです。
カメラを設置する事で介護される側にも精神的な負担になってしまいますが、こういった事件が減るのであれば結果的に良いのかもしれません。
一番の解決法は介護が必要の無い老人になる
結局の所、介護は誰かが負担をしなくてはいけませんし、肉体的、精神的、金銭的に様々なストレスを抱えてしまう問題です。
これを根本的に解決するためには「介護をされる必要のない老人になる」ことです。
中々難しい問題ではありますが、運動不足や不摂生から体を壊すことも多いので、若いうちから運動を習慣化して強い身体を作り、介護の必要の無い老人になることがこういった事件や社会問題を解決する一番の術ではないでしょうか。
20代を境に骨密度がどんどん減少していくと言われているので「若いからまだ大丈夫」と思わず、食生活や運動習慣を見直し介護の必要のない老後をおくれるような生活を心がけるのがベストです。
しかし、「介護の必要のない老人になる」ことで将来的な介護問題を解決、減少する事が出来るかもしれませんが、現状の介護問題の解決には至りません。
高齢化社会の介護問題は中々難しい社会問題ですね。