確定拠出年金が節税になると言われるワケとは?保険料と所得控除額の計算も紹介!

節税の観点で有利な年金保険

確定拠出年金制度が導入されて10年以上経ちましたが、個人型確定拠出年金の対象者を主婦や公務員といった層にまで広げる法改正がなされたことが最近報道されました。個人型確定拠出年金のメリットとして、節税になることがよく言われています。

個人型確定拠出年金は、国民年金や厚生年金といった公的年金を補完する上乗せの年金(私的年金)で、私的年金は複数あります。

どういう形で節税になるかが上乗せの種類によって変わってくるのです。

個人型確定拠出年金は全額所得控除の対象に

個人型確定拠出年金は全額所得控除の対象に

保険料と呼ばれるものを支払った場合は、公的なものでも民間の保険会社のものでも、所得から控除され税金が安くなります(民間保険会社の保険料は対象に制限があります)。

保険料関係の所得控除には、社会保険料控除・生命保険料控除・地震保険料控除があり、また小規模企業共済等掛金控除なるものもあります。個人型確定拠出年金の掛金は小規模企業共済等掛金控除にあたります。

 

単純な所得控除であれば、1月1日〜12月31日に支払った全額を、その間の所得から差し引くことができます。社会保険料控除や小規模企業共済等掛金控除はそれに該当します。

例えば、平成28年の給与所得が200万円、個人型確定拠出年金の年間支払額が80万円であれば、課税所得を求める際に200万円から80万円を差し引くことができます。

所得税率は一番低い5.105%(復興特別所得税含む)、住民税率10%とすれば、80万円 ×(5.105%+10%)で約12万円節税できることになります。

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個人年金保険は多く掛けても全額控除にならない

個人年金保険は多く掛けても全額控除にならない

上乗せ年金に当たるものとしては、民間の生命保険会社が扱っている個人年金保険もあります。この保険料を支払った場合は、生命保険料控除のうち個人年金保険料控除の対象となります。

節税を考える上での注意点は、こちらは所得から差し引くことができる控除額の計算が複雑であるということです。所得から控除できる金額は、所得税の場合は下記の算式で計算されます。

・平成23年以前契約

支払った保険料 所得控除額
25,000円まで 支払額全額
25,001円〜50,000円 支払額 × 1/2 + 12,500円
50,000円〜100,000円 支払額 × 1/4 + 25,000円
100,001円〜 50,000円

・平成24年以後契約

支払った保険料 所得控除額
20,000円まで 支払額全額
20,001円〜40,000円 支払額 × 1/2 + 10,000円
40,001円〜80,000円 支払額 × 1/4 + 20,000円
80,001円〜 40,000円

 

住民税は下記の算式となります。

・平成23年以前契約

支払った保険料 所得控除額
15,000円まで 支払額全額
15,001円〜40,000円 支払額 × 1/2 + 7,500円
40,001円〜70,000円 支払額 × 1/4 + 17,500円
70,001円〜 35,000円

・平成24年以後契約

支払った保険料 所得控除額
12,000円まで 支払額全額
12,001円〜32,000円 支払額 × 1/2 + 6,000円
32,001円〜56,000円 支払額 × 1/4 + 14,000円
56,001円〜 28,000円

月1,000円程度であれば支払った分が全額控除できますが、年間10万円台までいけば多く払っても頭打ちになってしまいます。

所得税率5.105%の場合、最大でも6,000円程度の節税効果です。税制面で優遇されていないとも言えます。

 

こんな年金保険料も全額控除に当てはまる

こんな年金保険料も全額控除に当てはまる

健康保険・厚生年金などのいわゆる社会保険の他、自営業者などが加入する国民健康保険や国民年金の保険料も社会保険料控除の対象です。

これは自分で納付した金額だけでなく、給与から天引きされている金額も対象です。

その他、上乗せ年金(私的年金)としては、国民年金を補完する付加保険料や国民年金基金の掛金も、社会保険料控除となり全額控除となります。

 

節税の観点で有利な年金保険

節税の観点で有利な年金保険

公的な年金保険を補完するものは実に様々なタイプのものがありますが、全額所得控除にあたるものもあれば、個人年金保険のようにそうでないものもあります。国民年金基金は給付額を考えて掛金を決める点では個人年金保険と似ていますが、節税を考えるとかなり違ってきます。

個人年金保険は生命保険ですので、営業の人は強く薦めてくるでしょう。一方で個人型確定拠出年金は、扱っている金融機関に売り込むメリットが少ないことから、あまり普及していないように見えます。

しかし、税金面で言えば、個人型確定拠出年金のほうがメリットは大きいのです。

 

上乗せ年金を(税制以外の面でも)多角的に比較して個人年金保険を掛けているのであればいいのですが、業者に影響されているだけで選んでいるのであれば、保険を見直したほうがいいかもしれません。

もっとも全額所得控除になる年金保険でも、掛けた金額分だけ税金が安くなる税額控除ではなく、あくまでも所得から差し引く控除です。払うからには節税額以上に支出が大きくなることには気を付けなければいけません。