「国民健康保険税」「国民健康保険料」の違いとは?時効やサービスに違いはあるの?

サービスや金額に大きな違いはあるの?

自分の住んでいる自治体が、なぜか国民健康保険の保険料が「保険税」になっている・・・と疑問を持っている方がいるかと思います。

特に住まいを転々としている方は、なぜ自治体によって違うのだろうと不思議に思うかもしれません。

これには、そのようにすると自治体が有利になるような事情があります。いったいどういうことなのか詳しく紹介します。

サービスや金額に大きな違いはあるの?

サービスや金額に大きな違いはあるの?

例えば東京23区は国民健康保険料(国保料)ですが、隣接する武蔵野市や千葉県の市川市などは国民健康保険税(国保税)となっています。

国保料と国保税で支払う金額や受けられるサービスに違いはあるのでしょうか?

 

もともと、国民健康保険の料率や税率、どんなサービスを提供するかは自治体の判断に任せられている部分があります。

そのため、同じ国保料でも各自治体で違っていますし、国保税の場合もあてはまります。国保料にしているか国保税にしているかでサービスや金額に大きな違いがあるわけではないのです。

ちなみに、住民税は地方税となりますが、神奈川県・名古屋市など一部の例外を除くと税率は一律10%です。

国保料・国保税も介護保険もあわせると10%前後ではあるのですが、自治体による差があります。住民税が高い安いという話を聞いて住まいを選んでいる方もいらっしゃるかもしれませんが、自治体による差があるのは国保料・国保税です。

 

国保料と国保税の大きな違いは滞納時効と差押え順位

国保料と国保税の大きな違いは滞納時効と差押え順位

法律上は国保料と国保税で位置づけが変わります。国保税は市町村民税や固定資産税と同様に市町村税(地方税)です。

国保税はそれらの税金と同じ形で払っていることになります。徴収の手続きは地方税法という法律により、国保料の場合は国民健康保険法によります。

 

国保税と国保料で大きく違うのは、滞納が生じた場合の時効です。国民健康保険法では2年、地方税法では5年と定められています。

また、滞納した場合に自治体は差し押さえの強制執行ができますが、差し押さえた財産をどのような順位で充当していくかに関しては、地方税は国保料より順位が上です。どちらにしても、国保税のほうが国保料より自治体にとって徴収が有利になると言えます。

なお、国保税と国保料に共通しているのは、差し押さえの優先順位は違えども破産免責はされないという点です。つまり自己破産した場合でも滞納分は支払っていかないといけないということです。

税金や公的な保険料は全般的にそうなっているので、支払いの優先順位をしっかり確認しましょう。

 

国保税・国保料の取り立ては厳しくなっている?

国保税・国保料の取り立ては厳しくなっている?

国保税・国保料どちらの方式であっても、取り立てに関しては昔より厳しくなってきています。

健康保険は「国民健康保険」「全国健康保険協会の健康保険」「各組合の健康保険」がありますが、大企業に関わる健康保険組合の加入者の方が、国民健康保険の加入者より所得が高い傾向にあります。

健康保険組合は、高齢者医療制度を支えるために分担金を国に拠出をしています。逆に国民健康保険は国から財政支援を受けるぐらいです。

その上、どの健康保険も高齢化社会で医療費負担が増大するにともない保険料(税)収入が減り、医療費等の支出が増えている状況です。

国保の状況はこのような非常に苦しいものですから、強制執行してでも取れるところから取ろうという方向になってきています。

 

もし、税金や公的な保険料が期限までに払えないという場合は無視するのではなく、自治体や税務署等に分納の相談をしておくことが大切です。

税収や保険料収入は国・自治体どこも厳しいですから、強制執行のような強硬手段に及ぶことが少なくありません。差し押さえになると生活に重大な支障をきたす恐れがありますので、生活の苦しい方はくれぐれも気を付けてください。

なお、国保料・国保税の均等割・平等割(所得に関わらず自治体ごとに決められた定額の保険料)は、低所得世帯の場合所得に応じて7割・5割もしくは2割減額になりますので、こういった減額制度もうまく活用しましょう。