5月17日に住民投票が実施され、賛成が有効投票の過半数となれば大阪市は廃止され特別区が置かれます。
大阪はもちろん、日本に住む人にとっても考えさせられる重要な投票となるでしょう。
「大阪に住んでいないから関係無い!」ではなく、日本に住んでいる一人の人間として大阪都構想について知っておきましょう。
府と市の二重行政によって多額の税金が無駄使いされている
今の大阪には大きな問題がたくさんあり、その問題を解決しようとするものが「大阪都構想」です。
大阪の大きな問題として上げられるのが「二重行政」というものです。(コチラの動画で詳しく説明しています)
二重行政とは「大阪”府”」と「大阪”市”」が別々に同じような建物や施設を建設しています。
もちろん、そういった施設を作る為のお金は税金から支払われています。
二重行政の象徴とも言われる事例を紹介します。
大阪市は1193億円の税金を使って「ワールドトレードセンタービル」を建設しました。
ワールドトレードセンタービルの建物の高さは256mです。結構な高さですね。
一方、大阪府は何を作ったかというと、659億円の税金を使って「りんくうゲートタワービル」を建設しました。
建物の高さは、市が作ったワールドトレードセンタービルより10センチ高い256.1mです。
もっと高い300メートル級の建物を作ったのであれば清々しいですが、「大阪市が256mなら大阪府は10センチ高くしよう」といった意地の張り合いの様な、子供染みた競い合いが現在の大阪では行われています。
それも、多額の税金を投入して建物を作っているので、大阪に住んでいる方はもっと深刻に考えなくてはいけません。
紹介したのはほんの一つの例ですが、このような事が他にも行われています。
この無駄な建物や施設をいくつも作ってしまう「二重行政」を無くそうというものが、大阪都構想の中身の一つになります。
大阪市長1人で268万人の住民の意見を聞かなくてはならない
今の大阪では市長一人で268万人の住民の意見を聞かなくてはなりません。
(コチラの動画で詳しく説明されています)
京都では263万人の住民に対して、市・町・村長・知事を加えた27人で住民の意見を聞いています。
広島では285万人の住民に対して、市・町長・知事を加えた24人で住民の意見を聞いています。
268万人の住民に対して1人の市長では、住民の意見をしっかり聞く事は中々難しいものです。
そういった『細かい住民の意見』を聞くために、大阪市を5つの区(特別区)に分けましょうというものが大阪都構想の中身の一つになります。
この5つの区には住民の方が選挙で選んだ区長が置かれ、話し合いの場となる区議会も置かれます。
今までは268万人の住民に1人の市長でしたが、268万人の住民に5人の区長が置かれるので、今よりは確実に住民の声を聞く事が出来るようになるのです。
学校のクラスに置き換えてみると、今の大阪は1人の先生で250人近い生徒を見ている状態です。1人で250人の話を聞く事なんて難しいですよね。
しかし、大阪都構想が適用されれば5人の先生が置かれることになるので、250人の生徒を分担して見ることができます。
先生1人でクラス50人と少し多いような気がしますが、1人で250人を見るよりも、もっと細かく生徒たちの声や意見を聞く事が出来ます。
大阪都構想のデメリットは?
反対派の方が挙げている大阪都構想のデメリットは、「600億円の費用がかかる」というものです。
しかし、今までに多額の税金を投じて閉鎖された施設は数多くあります(例:ラスパOSAKA120億円、なにわの海の時空間253億円、フェスティバルゲート340億円)
それに比べると、この600億円は無駄にお金を使うのでなく『未来への投資』になるので、デメリットという程悪いものでもない気がします。
これは大阪都構想の賛成派、反対派も認めているのですが、税金の無駄遣い(無駄な施設や建物の建設)をやめて改革が進むと、20年間で経済的に5000億〜1兆円のプラス効果があると言われています。
600億円をかけて大きな改革をしようとしているので、これを600億円かかると見るのか、600億円でここまでも効果があると見るのかは人によって異なると思いますが、600億円でそこまでの効果があるなら行うべきだと個人的に思っています。
使われる金額に注目が行きがちですが、正しい方向にお金が使われるのであれば納得する方も多いのではないでしょうか。
しっかりと考えて選択を
日本は将来的に少子高齢化社会になっていくので、税金の使い道などを正しく決めていかなくてはなりません。
税金の無駄遣いがこれからも行われる事で医療や福祉といった住民サービスがどうなるのかなど、しっかりと考える必要があります。
どの選択が自分のため、子供のため、孫のためになるのかよく考えて票を投じましょう。