不器用な大人のおすすめ恋愛小説ランキング!(ホリーガーデン、白夜、センセイの鞄など)

どんな人が読んでも楽しい恋愛小説を、簡単なあらすじと共にランキング形式で紹介しています。

5位:『人のセックスを笑うな』・山崎ナオコーラ

『人のセックスを笑うな』山崎ナオコーラ

19歳のみるめと美術専門学校の講師のユリとの恋模様です。

著者の山崎ナオコーラの名を一躍有名にした作品の一つで、後に映画化されています。

 

主人公のみるめとユリの淡々とした語り口調とゆるゆると流れていく日常の風景が癖になる一冊ですが、何処かで冷めた大人のふりをしているみるめと、無邪気なのだけど本当はトコトンドライな大人ユリとの関係は見ていて胸が苦しくなること必至です。

こどもの頃に背伸びをしてコーラを飲んでみたこと。初めて吸ってみた煙草の味。

セックスなんてしたことないのに『なんかもう、面倒なんだよね』といった態度をとってしまっていた青臭い日々を、思い出させてくれるのがユリとのぽつりぽつりと呟くような会話の数々。ぽろりぽろりとユリとこどもの姿をさらし、みるめは情けなさとともに諦めという名の大人の世界を見つめていきます。

友人のえんちゃんと堂本といる時の学生然としたみるめと比較して、その空気感の切なさを感じて欲しい一冊です。

4位:『ホリーガーデン』・江國香織

『ホリーガーデン』江國香織

大人気作家、江國香織の作者らしさが最も表れている一冊です。

親友の果歩と静枝がメインで書かれています。艶やかな雰囲気でそこはかとなく依存度の高い果歩と、クールで大人な静枝の関係が描かれていきます。

 

不倫関係を続けているクールな静枝よりも、実は捉えどころがなくどこか甘ったれたような口調の果歩の方が、淡々としていてドライであるところが著者の代表作『きらきらひかる』を彷彿とさせます。

不器用な言葉と行動の数々を読者は感じるのですが、登場人物達は『わたしたち、そんなに心狂わされていません』と言った風情で、周囲を巻き込みながら自分の世界を動かしていきます。

 

のちに登場してくる純粋な男の子『中野君』ですが、こどもっぽく心をむき出して生きる素直な彼こそが、作られた取り繕われただけの脆い大人の世界にストレートな清風を送り込んでいきます。

3位:『夜は短し歩けよ乙女』・森見登美彦

『夜は短し歩けよ乙女』森見登美彦

かつて本屋大賞2位を獲得し、その面白さと唯一無二の文章スタイルを世間に見せ付けた一冊です。

少々ストーカー体質の主人公が、ひたすら天然の黒髪の乙女を偶然を装って京都中追い掛け回すお話です。とにかく抱腹絶倒します。

 

京都という独特の雰囲気を利用して、まるで異世界につながるまったく知らない細道を、ママチャリで全力疾走するような感覚を味わえます。

不器用な中に隠れる情熱と根性と執念は、読む人を最後は幸せな気持ちにさせてくれます。

2位:『センセイの鞄』・川上弘美

『センセイの鞄』川上弘美

センセイとツキコさんの、年の差恋愛模様がなんともせつなくあわあわゆるゆると書かれた至高の一冊です。

お互いが『動き出す』までが長く感じられますが、その『動き出し』までの不器用な言葉の数々、酸いも甘いも噛み分けたはずの、日常の可愛さを楽しむお話と言っても過言ではありません。

甘くせつない恋愛を描いた小説です。

1位:『白夜』・ドストエフスキー

『白夜』ドストエフスキー

「白夜」はロシアの文豪ドストエフスキーの不朽の名作です。

短編なのでドストエフスキーの作品の中でも読みやすく、手に取りやすい作品の一つです。

ペテルブルクに住む貧しいインテリ青年が、孤独と空想に彩られた百夜の中に姿を現した少女と、現実と空想の狭間で生きる主人公の心を淡く乱していきます。

 

胸が締め付けられるような主人公の純粋さと、真っ直ぐさ穢れのない言葉の数々は、まるで子供が初めて恋をした姿を描いたかのように美しく切なく、幼き恋愛を思い出させます。

主人公の心が奏でる切ない言葉の旋律に耳を澄ましてみてください。まだ恋をしていない人も、恋を沢山してきた人にもおすすめの作品です。