公的機関から給付金や手当を受け取る場合、自分の状況を偽ってお金を貰うと不正受給になってしまいます。
有名人の生活保護について報道されたこともありましたが、不正受給のペナルティについてはご存知でしょうか?
今回は保険の種類とペナルティの内容について詳しく紹介します。
保険の種類によってペナルティは変わる
年金・失業給付・生活保護・自治体の手当など、公的機関から貰えるものには様々なものがあります。
これらの給付や保護で不正受給した場合、返還命令を出して返してもらうというのが法律で決まっています。
全額返還の場合もあれば、一部返還になる場合もあります。また、どの手当や給付でも悪質な不正受給とみなされれば詐欺罪で告発される可能性もあります。
しかし、細部まで見てみるとペナルティが一律に決まっているわけではありません。
生活保護に関しては2014年の法律改正で、不正受給した際の罰則が「3年以下の懲役または100万円以下の罰金」と強化されました。生活保護法だけの改正なので、他の給付等の罰則は異なります。
失業給付が最も重たい罰則
不正受給のペナルティが重たくて有名なのは雇用保険の失業給付で、俗に「3倍返し」と呼ばれています。不正受給した分を返還するだけでなく、罰金として納付することになります。
月20万円を3か月分(60万円)貰っていたとすれば、180万円をペナルティとして支払うことになります。これを払うことになると生活が大変になりますよね。
かなり重たいペナルティなだけに、失業給付の受給資格者向け説明会でも不正受給についてはかなり強調されています。
不正受給がなぜ発覚するのか?
ところで不正受給はどのようにして発覚するのでしょうか?一番多いのは事情を知っている知人による密告が多いとされています。
失業給付を貰っている方が日雇いや内職などで働いていると、給付が貰えなくなるか減額されます。その勤め先の人間が失業給付をもらっているのを知って密告してしまうというパターンです。
失業給付をもらっている側が雇用保険法のことを知らずに職場で話しているうちに、密告につながってしまうのです。
ハローワークで簡単に分かってしまうパターンとしては、勤め先で雇用保険に加入することになったというものがあります。
ハローワークは失業給付の対象者も雇用保険の加入者も把握しているので、照合すれば不正受給者が分かります。
失業給付以外についても、不正受給が発覚する原因は知り合いからの密告が多いです。
給付の併用が認められていないものも
公的な給付や手当は、併給が認められていないものが存在します。例えば「障害厚生年金」と「老齢厚生年金」というケースです。
ただし、これはどちらも日本年金機構が取り扱っているので、両方貰う前に確認がされます。手続き上は「年金受給選択申出書」を出すことになっています。
労災の年金と年金機構の障害年金・遺族年金については併給ができますが、前者の労災年金の方は約8割前後減額されます。
また、労災は労働基準監督署が取り扱うので、年金を貰っていることをきちんと報告しましょう。
そして「老齢年金」と「失業給付の基本手当」については併給ができません。老齢年金は日本年金機構、失業給付はハローワークが取り扱います。
年金を貰っている間に失業給付の受給手続きをとると、かつては年金機構への手続きも必要でしたが、平成25年10月以降は年金が自動的に停止されます。
例えば、定年退職後に再就職の意思が無いのに失業給付をもらい、その後で年金をもらう手続きをとるとします。
時間差をつけて両方貰うことが出来るうまいやり方になるのですが、これは不正受給になってしまいます。失業給付は「3倍返し」ですので、十分に気をつけたいものです。
今後はマイナンバーにより、個人の社会保障の情報は管理され、労災給付・雇用保険・年金などの情報は今まで以上に把握されやすくなります。
マイナンバーの情報照会など、これまでと違った形で不正受給が発覚することも考えられるので不正受給は絶対にやめましょう。