伊坂幸太郎は本屋大賞において唯一、第一回目から第四回目まで全てにノミネートされ、第五回目で同賞を受賞しています。
そのほか「山本周五郎賞」など、たくさんの賞を受賞している実力派作家でもあり、伊坂幸太郎作品のファンは数多く存在します。
近年多くの作品が映像化され、2015年11月には生田斗真主演で「グラスホッパー」の映画化が控えています。
そこで、伊坂幸太郎作品の中ですでに映像化されている作品の中で、おすすめの作品を簡単なあらすじと共にランキング形式で紹介します!
目次
5位:「アヒルと鴨のコインロッカー」(創元推理文庫)
2007年に濱田岳・瑛太主演で映画化された作品です。
椎名という大学生の現在と、琴美という女性の2年前の物語が同時に描かれている作品です。
次に出てくる第4位と第3位の作品に通じるものがあり、こういった技巧を凝らした作品は読んでいて面白いです。
4位:「フィッシュストーリー」(新潮文庫)
2009年に伊藤淳史主演で映画化された作品です。
売れないパンクバンドの「FISH STORY」という曲が世界を救うストーリーになっています。
1980年代前半、1999年の世紀末、2009年、2012年とそれぞれの時系列で「FISH STORY」にまつわるストーリーが展開されます。
時系列も順番になっていないので時々混乱しますが、それぞれの話が単独で読んでもしっかりとして面白いので、徐々に理解できてきます。
次元を超えたという表現が正しいかわかりませんが、ストーリー上まったく交わらないはずの人たちが、1曲を通じて、1つになっていくのはとても面白く読みごたえがあります。
3位:「ラッシュライフ」(新潮文庫)
2009年に堺雅人主演で映画化された作品です。
女性画家、泥棒男、神に傾倒している若者、不倫中のカウンセラー、それぞれのストーリーが巧妙に絡み合って、いつの間にか不思議に繋がっていきます。
伏線が散りばめられていて、それを見事に回収していくので見事の一言です。
パズルを組んでいくかのように文章構成が練りに練られていて、ストーリーはさることながら作者のうまさに唸ってしまうような作品です。
好き嫌いは分かれるかもしれませんが、伏線好きの方は楽しめるのではないでしょうか。
2位:「ゴールデンスランバー」(新潮文庫)
2010年に同じく堺雅人主演で映画化された作品です。
映画もヒットしたので、ご存知の方も多いのではないでしょうか。
主人公である青柳雅治は大学時代の親友・森田から「お前、オズワルドにされるぞ」と告げられます。
その直後に首相が暗殺され、青柳のもとに警察官がやってきます。森田から逃げるように言われ、青柳の逃走劇がスタートするというものです。
完全なる心理戦で、誰が敵で誰が味方なのか?伊坂幸太郎の筆力のなせる業で、短い文が散りばめられているため、緊迫感が伝わってくる文章になっています。
登場人物も皆怪しく思えてくるので、青柳と一緒に疑心暗鬼になったり、信用したりとハラハラしながら読むことができます。
謎解きよりもハードボイルド作品が好きな方にお薦めの作品です。読んで損はありません!
1位:「重力ピエロ」(新潮文庫)
2009年に加瀬亮・岡田将生主演で映画化された作品です。
過去に家族にまつわる辛い事件を胸にしまいながら暮らしている2人の兄弟とその家族の話です。
ある日、仙台市で放火事件が発生し、弟の春はグラフィティアートと連続放火事件の関係に興味を持ち犯人を捜そうとします。
2人の兄弟が事件を追いかけているうちに、過去の辛い事件が重なり合い、徐々に核心に近づいていくというストーリーです。
「春が二階から降ってきた」の一文から始まるこの作品ですが、この一文に興味を持っていかれました。
春の苦しみ、母の悲しみ、父の葛藤、家族の愛、犯罪の闇とが絶妙に混ざり合い、読んでいてとても辛く悲しい気持ちになるのですが、家族の愛と兄弟の未来に光が見えて、希望のあるラストに仕上がっていてとても好きな作品です。
グラフィティアートと遺伝子配列というミステリーの謎解きの部分もとても面白かったです。
映画もとても良い作品で、原作にある程度忠実に作られているので両方読んでイメージを膨らませるのも楽しいと思います。