塩野七生の歴史小説おすすめランキング!(レパントの海賊、海の都の物語、ローマ人の物語など)

塩野七生「ロードス島攻防記」のあらすじ

塩野七生のおすすめ歴史小説を簡単なあらすじと共にランキング形式で紹介しています。

西洋歴史をテーマにした小説が多く、その時代の暮らしや生活などを学ぶ事が出来る作品が多いです。

5位:「レパントの海戦」

塩野七生「レパントの海戦」のあらすじ

「コンスタンティノープルの陥落」「ロードス島攻防記」に続く、彼女のいわゆる「地中海三部作」の一つです。

塩野七生お得意の「歴史でも、物語でも、小説でもなく、しかもその全てである」と称される、虚実を縦糸と横糸とした歴史絵巻が織りなされます。

 

物語はレパントの海戦におけるキリスト教連合軍のベネツィア軍の副官、アドスティーノ・バルバリーゴを中心に展開します。

連合軍の男たちの覚悟や勇気は、オスマン・トルコ帝国の覇権という大きな歴史の流れを食い止めることができるのか、歴史的事実を知っていてもなお、物語がどうなっていくのか?と飽きずに読み進めることが出来ます。

4位:「ロードス島攻防記」

塩野七生「ロードス島攻防記」のあらすじ

先に書いた「三部作」の一つで、時間軸としては2番目にあたる作品です。

東ローマ帝国を滅亡させたオスマン・トルコ帝国でしたが、地中海の小さな島「ロードス島」の存在が目障りでした。

そこにわだかまるロードス島騎士団が、帝国の地中海の自由を押さえつけていたからです。スレイマン一世は大軍を以ってこの島を捻り潰すことを決意します。

 

20万人の大軍がこの小さな島に攻め寄せ、守るは三千人ほどですが真に戦力たるロードス島騎士団はわずかに600人程度です。

この絶望的な戦いが、若き騎士アントニオ・デル・カレットの視点で描かれます。

敗れてなお戦い続けたこの騎士団が、オスマン・トルコやヴェネツィア共和国が滅びても、現在も存在しているのは歴史の皮肉と言うべきでしょうか。

3位:「海の都の物語 ヴェネツィア共和国の一千年」

塩野七生「海の都の物語 ヴェネツィア共和国の一千年」のあらすじ

歴史上、最も長く存続した国家はと聞かれて「ヴェネツィア共和国」と答えられる人は少ないかもしれません。

歴史的に確認されている元首からナポレオンの侵攻による滅亡まで、1000年以上同じ政体で続いた国家は歴史上ありません。

 

海による飛び飛びの領土によって構成されるという特異性を持ったこの国は、フランス、スペイン、トルコといった領土型の大国の間で生き延びるためには、あらゆる権謀術数を他国に、同盟国に、時には自国民にも迷わず使いました。

現在のような優雅な観光都市からは想像も及ばない冷徹な政治力学とその実行力は、この作品を読んだ人に国家のありかたを考えさせるに違いありません。

2位:「チェザーレ・ボルジア あるいは優雅なる残酷」

塩野七生の「チェーザレ・ボルジア あるいは優雅なる残酷」のあらすじ

作家自身が魅力的だと思う人物を描く時、やはりその筆は冴え渡ります。

歴史的には権謀術数の限りを尽くしたチェーザレ・ボルジアを公然と称えるのは、彼女とニコロ・マキャベッリくらいかもしれません。

 

彼女は「なんなら理想の人物と言ってもいい」と書いていますが、チェーザレの冷酷な行動さえも、彼女はそれを必要な事としながら倫理的な弁護をすることなく書き進めます。

逆にそれが「倫理」という規範だけでは計り知れないチェーザレの魅力と、坂を転がり落ちるようにして迎えた悲劇的な最期を引き立たせます。

その描写にも、冷徹さと美しさは失われていません。

1位:「ローマ人の物語」

塩野七生の「ローマ人の物語」あらすじ

やはり塩野七生は、このライフワークを抜きにしては語れません。

私はこの2巻「ハンニバル戦記」で初めて彼女の作品世界に触れて衝撃を受け、これが彼女の作品を読み始める端緒となりました。

全15巻の大作ですが、そのうち2巻をたった一人の人物ユリウス・カエサルに費やしています。

 

史実と異なるという批判も少なくありませんが、学術的な歴史自体も現時点では仮説なので、そういう点では一読者としては気になりませんでした。

なお、この作品ではカエサルが「クレオパトラを楽しみはしたが、溺れはしなかった」と、自身の愛と政治的問題にしっかり一線を引いている姿勢を描破しています。