少年Aの手記「絶歌」について 出版社は悪いけど購入者も悪い?

今話題の少年Aの手記「絶歌」に対して様々な意見があります。

批判の意見を多く目にしますが、みなさんはどんな意見を持っているでしょうか?僕自身もこの出版に対しては否定的な意見を持っています。

この一連の問題を一つ一つ見ていきましょう。

出版社側の問題

絶歌、出版社の問題

一番問題だと思うのが「絶歌」を出版した太田出版だと思っています。「絶歌」を出版した理由を以下の様に話しています。

「社会は、彼のような犯罪を起こさないため、そこで何があったのかを見つめ考える必要があると思う」

http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1506/17/news117.html

つまり、同じ様な少年犯罪が起こらないためにも出版する意味、意義があるということですが、正直間違っていると思います。

「少年犯罪が起こらないためにも出版する意味があります!」という100%の想いと熱意があるならば、遺族に出版の了解を取るのが普通ですし、常識だと思います。

 

しかし、50%なのか10%なのか5%なのか分からないが、心の中には「この本を出版すれば売れる」という考えがあったはずです。

にもかかわらず出版社側は「100%正義のためです」といった態度を取っているので、良い格好をする感じが腑に落ちません。

儲けを考える事を否定しているわけではないのですが、「正義」を全面に持ってくる感じがズルいですよね。

正直に「ビジネスのためでもあります」と言った方が良いのではないでしょうか。

 

貴重な資料になるからOKという意見

「凶悪な少年犯罪の貴重な資料となる」といった意見もあります。

犯人の考えや犯行の動機を知る事で、今後の少年犯罪の有益な資料となるかもしれません。

「でもそれって一般に公開して販売する必要あるの?」というのが率直な感想でした。

警察だったり犯罪心理学の人が話を聞いて、それを裏で資料として扱えば良いだけの話で、わざわざ販売する必要はないと思います。

 

本の印税が入ることについて

アメリカではサムの息子法というのがあり、犯罪加害者が自らの犯罪を綴った物語を出版し、利益を得る事を禁じるという法律です。

この法律がない日本では印税が加害者である少年Aに入る事になります。

 

出版社が「少年犯罪が起こらないためにも出版する意味がある」というのであれば、この本で売り上げた利益を被害者や少年犯罪被害者当事者の会に全額寄付をすべきだと思います。

出版社が「正義のため」に出版したのであれば、それくらいの行動はするべきだと思いました。

 

購入者も悪い?

絶歌の購入者

購入者が悪いかどうかというのも様々な意見があり、かなり難しい問題です。

僕自身の考えはこの本を買うべきでないと思っています。

 

被害者遺族の理解を得ていて、売り上げた金額は被害者遺族や被害者遺族の会にあてられるのであれば問題はないと思いますが、一番守られるべきである被害者、被害者遺族の方の了解を得ていない出版物であり、その売り上げの一部が加害者に入ると思うと、買うべきではないというのが正直な感想です。

どんなことが書いてあるのか読んでみたいという興味、好奇心は分かりますし、大きな事件なのでこの本に興味が湧く事自体は悪い事ではないと思います。

しかし、違法ではないにしても常識的に考えてありえない過程を経て出版されたこの本を購入するのは、購入者にも非があるのではないのかと思っています。

 

この事件を総合的に見れば、100%加害者が悪いです。

本の出版に関して言えば99%出版社が悪く、購入者も出版社に加担している様なものなので、非はあるのではないかと思っています。

出版されてしまった以上、回収は不可能なので、せめて売り上げたお金は被害者遺族にあてられれば良いですが無理でしょうね。