高田郁のおすすめ歴史小説を簡単なあらすじと共にランキング形式で紹介します。
高田郁の小説は時代背景が分かる作品が多く、かなり読みやすい小説が多いです。
5位:「あい」
「あい」は現代では中々みられない尽くす女性の物語で、夫婦のあり方や人生の目標について考えさせられる作品です。
江戸時代末期から明治時代にかけての時代背景は高田さんの小説らしい特徴です。
実在した医師の関寛斎とその妻あいの物語。表の歴史では関寛斎がとりあげられることが多いのですが、高田さんらしくその焦点を関寛斎を支えて人生を全うした妻あいの視点で描いています。
百姓の「あい」が、医師の妻として日本全国で困難に立ち向かいながらも人間関係を築き、関寛斎を支えていくというストーリーは、今では珍しいストーリーです。
4位:「ふるさと銀河線」
「ふるさと銀河線」は赤田郁さんの作品としては珍しい現代小説の短編集です。とはいえ、鉄道にまつわる人間模様を様々な視点で描いています。
漫画原作者時代の高田さんの作品を小説に紡ぎ直したようなのですが、現代小説でも高田さんのほっこりした感動は小説を通じて伝わってきます。
「車窓家族」のメルヘンチックな趣や、夫婦が田舎の星空を眺めて人生を振り返る「返信」などそれぞれの物語が心にしみます。
3位:「出世花」
「出世花」は私から見ると江戸時代版の「送り人」のように感じました。江戸時代の葬儀のことを知る機会はありませんが、この本を通して知る事が出来ます。
また、主人公が生い立ちに不幸のあった少女で、その少女が寺に引き取られ葬儀を通じて立派に成長していく姿には、誰もが感情移入してしまう作品です。
少し重苦しいテーマのようですが、主人公のお縁の姿を通して高田郁さんならではのほっこしりした感動と安心が、作品を通して伝わってきます。
2位:「銀二貫」
高田郁さんの「みをつくし料理帖」を読んだ方には、すっと読みやすい歴史小説です。
時代は江戸時代、主人公は藩のトラブルで親を亡くした男の子とその成長、そしてその主人公の成長を支える大阪商人と寒天という食べ物。
上下巻での構成になっていますが、もっともっと長く読んでみたいと思わせる作品です。武士の子が大阪商人として成長していく姿は、現代のサクセスストーリーのようにも思えます。
この主人公の幼いころからの成長に焦点をあてているような作品は、過去に読んだこともなかったので非常に新鮮でした。
しかし、「銀二貫」というタイトルを見たときは何のことかよくわかりませんでしたが、大阪の商品魂が現代まで息づいていくことがよくわかる作品です。
「寒天」という食べ物や「甘い食べ物」の歴史も我ながら知らないことばかりで目からうろこでした。
NHKのテレビドラマにもなり、なかなか面白い作品です。
1位:「みをつくし料理帖」
「みをつくし料理帖(りょうりちょう)」はなんといっても高田郁さんの代表作だと思います。
幼いころに水害で両親を亡くした主人公の澪が江戸で料理の道に奮闘していく歴史小説で、とにかく澪の前にはさまざまな苦難がたちはだかるのですが、それを持ち前の明るさと人間力、そして澪を支える人間たちの力も加わり、一人前になっていく姿は本当にすがすがしいです。
また、幼いころに生き別れた親友を遊郭から引き取るための資金を料理で集めたいという思いや、澪をとりまく男性たちとの恋模様も手伝って非常に面白いと思います。
最終巻で高田郁さんが、脇役に焦点をあてた続編も検討しているというような、後書きがあったので今からどんな作品になるのか楽しみでなりません。
歴史小説はどうもとっつきにくいと考えている方がいれば、まずこの「みをつくし料理帖」をオススメします。
長編小説ですがさらっと、物語にも入りやすく読破できてしまう作品だと思います。