最近「介護医療保険」という言葉をテレビやネットで目にする方もいるかと思います。
介護医療保険とは一体どういうものなのか詳しく紹介します。
保険商品としては一般的ではない
保険商品として、介護医療保険はこういうものだという形で生命保険会社が紹介することはほとんどありません。
入院給付金や手術給付金などが出る「医療保険」と、介護が必要な場合に給付が出る「介護保険」をあわせて紹介されることがありますが、それ以上の意味はないでしょう。
こういう言葉を聞くようになったのは、所得税や住民税の生命保険料控除に「介護医療保険料控除」というものが新設されてからです。つまり、ほとんど税務上で使われる用語で、年末調整や確定申告に関わってくるものと言えます。
このような制度が新設されたのも、国としても民間の介護保険や医療保険への加入を奨励しているとも言えるでしょう。
以下では、税務上の介護医療保険料控除を解説し、生命保険商品としては介護保険に絞って公的介護保険と比較しながら見て行きたいと思います。
介護医療保険料控除とは
では、この介護医療保険料控除とは何なのでしょうか。平成24年以降に新規契約した介護保険、及び医療保険を支払った場合に受けられる生命保険料控除の一種です。
支払額は全額が所得から差し引けるわけでは無く、一定の計算式に基づき支払額より少なくなるような形で差し引きます。介護医療保険料控除の上限は所得税で40,000円、住民税で28,000円です。
平成23年以前に契約した医療保険や介護保険に関しては、一般の生命保険料控除という形で定期保険・終身保険などと同じ枠で控除対象となります。
この上限は所得税で50,000円、住民税で35,000円です。上限額が平成24年以降の方が下がっていますが、不利になったとは言いきれないでしょう。
医療保険を年12万円、定期保険を年12万円払っているとすれば、両方とも平成23年契約であれば所得税の控除額5万円ですが、両方とも平成24年契約であれば、所得税の控除額8万円(一般4万円+介護医療4万円)となります。
民間介護保険のメリット
税金対策としてはメリットが出てきた民間の介護保険ですが、活用すると何が得なのでしょうか?
公的介護保険は介護サービスに関してお金で受け取れるものはなく、原則現物給付となります。
介護保険を1〜2割自己負担することで、老人ホームなどでの入居サービス・ヘルパーなどによる援助サービスを受けられるということです。
生命保険会社の扱う民間介護保険は、所定の要件を満たしたときにお金をもらうことができます。
例えば、要介護・要支援状態になった時に、介護年金を年60万円を貰うことなどが可能です。他にも一時金形式でもらえる保険もあります。
また、公的介護保険は40代から加入しますが、民間の介護保険には20代から契約できるものがあります。公的介護保険には30代まで要介護認定されることはないのですが、介護年金をもらったほうがいい状態になることもありえなくはないので、心配な方は検討してみてもいいでしょう。
公的保険から貰えるものはある
健康保険に含まれる介護保険の他にも、公的な保険から貰えるものもあります。介護を受けている人が貰えるのは、労災からは「介護補償給付」というものがあります。
仕事上の災害によって休業することになり、1年6カ月経ってもなお要介護状態にある時は介護補償給付を受けることが出来ます。
これは一定の障害状態にあるときに貰える、傷病補償年金や障害補償給付と一緒に貰うことができます。
逆に介護する人が貰えるものもあり、雇用保険から「介護休業給付」を貰うことができます。
概ね在職中給与の4割程度を、93日分(およそ3か月間)貰う事が出来ます。
平成28年8月より貰える金額が4割から67%となり、平成29年より同一の介護状態で3回に分けて貰うことも出来るようになります(現在は1回)。
しかし、これらの制度が利用できるのは労災から補償が受けられたり、介護休業中の「給与がもらえない分の補てん」という性格のものばかりです。
介護となるとバリアフリー改修工事をしたり、老人ホームの一時金を支払ったりなど、一時的に多額の出費を迫られることがあります。純粋に介護のためにお金を確保するのであれば、民間介護保険の利用を検討するのがおすすめです。