「契約者貸付制度」で保険をローンとして活用できる?利息の計算や注意点とは

保険もらう時に残債と相殺される

手元にあるお金が不足していてお金を借りたいと思った場合、最近では大手の銀行が消費者金融を扱っているので、保険をかけているとそこからローンを利用できることはご存じでしょうか。

保険のローンは「契約者貸付制度」といいます。全ての保険で利用できるわけではないのですが、どのようなものなのでしょうか?

契約者貸付とは

契約者貸付とは

契約者貸付制度とは終身保険など解約辺戻金のある保険に加入している場合、その解約辺戻金を担保に借入ができるというものです。

借入限度額は当然ながら解約辺戻金の範囲内ということになり、7割〜9割程度が多いと言えます。

保険を活用したローンなので医療費に充てる方が多いようですが、用途が問われるわけではないので生活費等に充当することも考えられます。

 

利息はどのように計算されるのか

利息はどのように計算されるのか

借入を行うので返済の際には利払いもありますが、利息には気をつけてください。

近年はマイナス金利政策が行われたり低金利な時代となっていますが、契約者貸付の利息は契約時の予定利率が基準となりますので、契約時に約束した利回りに1〜2%程度はプラスされます。

高金利時代に契約していた保険だと割のいい保険だとも言えますが、契約者貸付を利用する場合は支払利息の利率が5%を超えるケースもあり、利息負担に気をつける必要があります。

 

また、単利でなく複利であることにも注意が必要です。

例えば年利3%で100万円を借りた場合、1年経過すると103万円になります。2年経過後は106万円ではなく、106万900円になる点に気をつけましょう。

 

保険もらう時に残債と相殺される

保険もらう時に残債と相殺される

保険を解約したり満期になって保険金をもらう場合、残債務があると相殺されて差額だけが振り込まれます。

例えば保険金が200万円もらえるとして、契約者貸付の残債が100万円ある場合は100万円の返済義務はなくなりますが、もらえる金額も100万円になります。

相殺されるなら定期的な返済をしなくて済むというメリットもありますが、注意すべき点もあります。

複利計算されるので、放っておいて元利あわせた総返済額が解約辺戻金相当額を上回ると、その時点で保険が失効になるリスクもあります。そうならないように、借入残高は1年毎にチェックしていく必要があると言えます。

 

健康保険にもローンの機能がある

健康保険にもローンの機能が

こういった保険に関するローンは、実は公的な健康保険にもあります。

ある月1カ月間の医療費(健康保険適用で本人負担分)には所得に応じて上限額があり、それを超えると申請することで高額療養費が支給されます。

しかし、支給されるのに3カ月程度時間がかかりますので、一時的に多額の支払いが必要になる場合があります。その際に利用できる健康保険の制度で、高額医療費の無利子貸付制度があります。

高額療養費の8〜9割(全国健康保険協会では8割)を借りることができますので、あと1〜2割だけ実際に支払えば済むことになります。

 

また、前もって限度額適用認定証を発行してもらえれば、本人負担分の上限額以上を医療機関に支払う必要はなくなります。

事前に手続きができるようであれば、こちらを活用したほうが手間はかからなくて済みます。

多額の医療費を負担することになった場合に生命保険の契約者貸付制度を利用することも考えられますが、その前にこうした制度があることも知っておきましょう。

保険でローンという手段はなじみのない方もいるかもしれませんが、公的保険でも民間保険でも、せっかく保険料を払っているので金策の1つとして活用してみましょう。