秒速5センチメートルのあらすじや感想!そこまで鬱展開のアニメじゃない?

秒速5センチメートルの簡単なあらすじ

「え、今更?」と言われてしまいそうですが、Huluで配信されていた新海誠さんの作品「秒速5センチメートル」の映画を見ました。

噂ではかなりの鬱アニメと聞いていたのでどんな展開になるのか気になりながら見ていましたが、後味が悪いだけの鬱展開というわけではありませんでした。若干のモヤモヤ感は残りましたけど。

2016年8月10日に新海誠さんの新作映画「君の名は。」が公開されるので、まだ秒速5センチメートル見た事が無い!という方は是非見た方が良いですよ。

ちなみにHuluでは「事の葉の庭」「雲のむこう、約束の場所」「ほしのこえ&彼女と彼女の猫」なども配信されているので、新海誠さんの作品を一通り見る事が出来ます。

今回は秒速5センチメートルの簡単なあらすじ、個人的な感想を書いていきます。

 

追記:8/26に公開された「君の名は。」を見てきました!

綺麗な彗星の描写、劇中に流れるRADWIMPSの曲など、感動出来る作品でした。こちらの記事もあわせて見てみてください。

関連:映画「君の名は。」を見た感想・ネタバレ!物語とRADWIMPSの曲が良すぎて感動!

秒速5センチメートルの簡単なあらすじ

秒速5センチメートルの簡単なあらすじ

映画タイトルにもなっている『秒速5センチメートル』ですが、桜の花びらが落ちる速度が秒速5センチメートルであると作中で言われています。

この計算からいくと1メートルの距離を花びらが落ちるのに20秒もかかることになるので、実際の速度はもっと速い気がします。まぁ花びらは一直線に落ちるわけではなく、ゆらゆらと揺れながら落下していくのでその速度もあり得ない訳ではないと思いますが、少し遅い気がしますねー。

 

秒速5センチメートルは1時間程の映画ですが、「桜花抄」「コスモナウト」「秒速5センチメートル」の3章に別れてストーリーが展開されていきます。

『桜花抄』では小学生の頃の貴樹と明里のやり取り、明里が栃木へ転校したこと、貴樹も鹿児島へ転校することが決まった事、貴樹と明里の文通、そして貴樹が明里の元へ向かい再開を果たすストーリーとなっています。

教室に差し込む光の描写や、桜、雪といった自然の描写がめちゃくちゃ綺麗です。

 

『コスモナウト』は貴樹が転校した先の鹿児島での話で、貴樹に長い間好意を寄せる澄田花苗の目線で物語が進んでいきます。

田舎の夕暮れの描写、海の波、満天の星空、打ち上がるロケットなど、光が眩しく感じる程綺麗な描写です。

アニメの中だけの話ではない「自分の好きな人には好きな人がいて、その人にも別に好きな人がいるかもしれない」という、学生の頃に体験した『叶わない恋』が描かれています。個人的に絵も物語もコスモナウトが一番好きでした。

 

最終章の『秒速5センチメートル』は東京に戻り社会人になった貴樹の話です。

貴樹は大人になっても明里の事を想い続け、当時付き合っていた女性からは「1000回メールしても、心は1センチくらいしか近づけなかった」と言われてしまいます。

小学生の頃に通った踏切を歩いていると偶然明里とすれ違います。振り返ると二人を遮る様に走行する電車。電車が通り過ぎるとそこには誰もいない。

山崎まさよしさんの「One more time,One more chance」の音楽と共に流れる過去から現在までの描写、最終章はセリフが少なくそれもまた良いですよね。貴樹は結局報われませんでしたが。

 

あらすじはこんな感じです。では個人的な感想を書いていきます。

 

秒速5センチメートルを見た感想

秒速5センチメートルを見た感想

画像:秒速5センチメートル

桜花抄で明里が貴樹と別れる時に言った「貴樹君はこの先もきっと大丈夫だと思う」という言葉を聞いた時「え、なんでそんな事言うんだ?」とかなり驚きました。

この言葉は「鹿児島に転校しても貴樹君ならやっていけるよ」と「私なんかいなくても大丈夫」のどちらかの意味だったんだと思います。もしかすると2つの意味を踏まえて放った言葉なのかもしれません。

この言葉を聞いた時「貴樹くんは私なんかいなくても大丈夫。やっていけるよ」と明里が言っている様に感じたのです。でも貴樹と明里は両想いのはずなのに何故そんなことを言うんだ?と。

両想いなのであれば、遠距離でも好き同士でやっていけば良いじゃんと個人的には思うのですが、明里は現実的というか、大人ならまだしも、子供である二人が恋人として遠距離でやっていける訳がないと思って言ったのかもしれません。

 

ちなみに、明里は貴樹に手紙を渡す事が出来ませんでしたが、秒速5センチメートルの小説版ではこの手紙の文面が全て載っています。

手紙には貴樹が好きであるという事が書かれているそうで、あそこで手紙を渡さなかったのは、感情よりも現実を見た明里の行動だったのかもしれません。

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2章のコスモナウトに登場する花苗ですが、彼女の気持ちを考えるとかなり辛いですよね。

貴樹は花苗に対して恋愛感情というものは全くなく、貴樹は自分の事を全く見ていないというのを花苗も十分感じています。

明里の存在を花苗が知っていれば諦めがつくようにも思えますが、貴樹の気持ちを知る由もありません。

 

この映画の登場人物ってシャイというか、自分の思った言葉をそのままぶつけないんですよね。

「あなたの事が好き」とか「あなたは誰が好きなの?」とか、その言葉をぶつければ心のモヤモヤは消えるのにという場面が多い気がします。

思った事をぶつける難しさや、本音を言えないというのが現実っぽいというか、アニメでありながら妙にリアリティを感じる部分なのかもしれませんが。

 

コスモナウトと言えばロケットが上空に飛び立つシーンが印象的ですが、ここをきっかけに花苗の中で何かが変わった様な気がします。

明里とのキスで何かが変わった貴樹の様に、花苗にとってはここが転換点だったのかもしれません。好きな気持ちは変わらない様でしたが、諦めはついたのかなと。

 

最終章の「秒速5センチメートル」ですが、ここであえて秒速5センチメートルというタイトルにしたのは、貴樹の昔から変わっていない(過去にとらわれて前に進んでいない)気持ちをを表したタイトルなのかなと感じました。

あらすじの冒頭部分で書いた様に、秒速5センチメートルということは1メートルの距離を落ちるのに20秒もかかるわけです。これって全く進んでないですよね。

歳はとっても気持ちは変わらない、一途と言えば一途なのかもしれませんが悪く言えば前に進めていない、進歩の無い貴樹を表しているのかもしれません。

 

最後の踏切で貴樹と明里がすれ違うシーンですが、多分互いに認識していると思うんですよね。

電車が通り過ぎた後に明里はいませんでしたが、仮に明里が電車が通り過ぎるのを待っていたとして、明里と会話する事になったら「私結婚するんだ」という言葉を聞くと思うので、これはこれで貴樹にとっては不幸の事だと思います。

この言葉を聞いて次に進む事ができるのかもしれませんが、振り返った時に明里の姿は無く、前を向いて歩いていく貴樹の顔は微笑んでいる様にも見えました。

電車が過ぎ去っても明里の姿は無く、自分の道を進むのを見て、貴樹も自分の道を進もうと決心出来たのかもしれません。そう考えると意外とハッピーエンドな展開?考えすぎですかね。

 

女性は切り替えが早く、過去の恋愛にとらわれないとよく言われますが、貴樹が明里を想う程の熱量で明里は貴樹の事を多分想っていないですよね。

もしかすると大人になった花苗も既に結婚していて「貴樹君なんていたなー」くらいに思っているのかもしれません。さすがに酷かな。

男性の弱さというか、両思いでも実らない恋愛は鬱アニメと言われる所以かもしれません。

結局このアニメは何を伝えたかったのか正確には分かりませんが、過去にとらわれすぎるのは良くないってことですかね。