定額の動画配信サービスHuluでアニメや映画、ドラマなどを最近見ていますが「リリィ・シュシュのすべて」という映画を見たので映画のあらすじやレビュー、感想を書こうと思います。
上映時間が2時間26分と長い作品ですが、飽きずに最後まで引き込まれました。映画の内容はかなり衝撃的です。
リリィ・シュシュのすべてのあらすじ
この映画は2001年に公開された岩井俊二監督の作品で、出演者は市原隼人、忍成修吾、蒼井優、伊藤歩、大沢たかお、稲森いずみなど今でも活躍する俳優達です。
簡単なあらすじとして、主人公である中学生の蓮見雄一(はすみ ゆういち)は新学期から仲の良かったクラスメイトに急にいじめられてしまいます。
蓮見の唯一の楽しみと言えば「リリィ・シュシュ」というアーティストの音楽を聴く事で、自ら「リリフィリア」というファンが集まるサイトを作り、同じリリィ・シュシュのファンである【青猫】という人物とネットの中で交流を深めていきます。
いじめや暴力、万引き、自殺、売春、レイプなど「負の部分」が残酷かつリアルに描かれています。
今の時代、こんな内容の映画を撮影するのは難しいだろうなーと感じる程、衝撃的な作品でした。
田園が美しいある地方都市。中学二年の蓮見雄一 (市原隼人) は、かつての親友、星野 (忍成修吾) にいじめられ、窒息しそうな毎日を送っている。唯一の救いはカリスマ的歌姫リリイ・シュシュの歌声だけ。自らが主宰するファンサイト「リリフィリア」の中にいるときだけが本当の自分でいられる瞬間だった…。
Huluのあらすじ引用
「リリィ・シュシュのすべて」を見た感想
この映画を見て感じたのは「とにかく救いが無い」でした。
いじめや自殺などの暗いテーマを扱い、非現実的な話と思いきや妙にリアリティがあるんですよね。
実際にいじめによって自殺をしてしまう中高生がいるので、映画やフィクションだけの話ではなく、現実でもあり得る話なのかなと感じました。
新学期が始まると雰囲気やキャラが変わるというのは中学生にありがちで、心が不安定で感情が揺れ動きやすい時期だったりします。
世界が学校を中心に回っていて、もの凄く狭い視野で物事を見がちですが、そういった描写がこの映画のリアリティ感に繋がっているのかもしません。
もう一つこの映画を見て思ったのが、幸せな人が一人も出てきません。
登場する大人は怖いくらい無気力で、冒頭の家族で食事をするシーンも本来であれば明るい家族団らんのシーンですが、照明が薄暗く空虚で暗い印象を受けました。終盤の蓮見が髪の毛を切られるシーンも薄暗く、テーマも暗ければ幸福感が一切出てこない!といった映画でした。
一つ救いの光があるとすれば、ネットでリリィ・シュシュについて語っているシーン。
このネット空間でのやり取りも負のシーンと感じる方がいるかもしれませんが、良くも悪くも、匿名で会話が出来るネット空間で自分をさらけ出す事が出来るのは、この映画唯一の幸福だった気がします。
リリィファンは「精神を満たすオーラ」のことをエーテルと呼んでいて、熱狂的なファンは恐怖を感じるほど宗教じみてます。
宗教は心の不安を取り除くためだったり心のより所だったりしますが、星野や蓮見は心の闇を払拭したくてリリィ・シュシュに救いを求めていたのかもしれません。
星野も自分が好き好んで人を殴ったりいじめているわけではなく、どこかで道を間違えて「悪い人間」になってしまい、誰かに止めてほしかった。
最後は殺されるという形で止められましたが、彼にとってはそれも良かった気がします。
しかし、ネットでの青猫とフィリアの関係を見れば絶対に仲良くやっていけた二人なだけに残念でしたね。
ここまで「リリィ・シュシュのすべて」を振り返ってみて、「死=救い」という印象を受けました。
確かに、自殺をした津田詩織の様に、心の闇やどうしようもない現状から脱去するのに「死」というのは一つの方法なのかもしれません。
でも、それは一つの方法であってベストな選択肢でもベターな選択肢でもないと思うんです。簡単でベストな選択肢は「学校を辞める」「親や警察に相談する」ことです。
先ほども書きましたが、自分の世界が学校を中心に回っている中学生にとっては、このベストな選択肢を取れない人もいるんですよね。
これが実際にあることなので、この映画の妙に感じるリアリティに繋がるのかもしれません。
15年以上前の作品ですが、今見ても時代を感じさせない素晴らしい映画です!